ヨークベニマル(真船幸夫社長)は13日、今期3店目の佐野田島町店(栃木県佐野市)を開設した。期末までの4カ月で、さらに6店の新設を予定している。同社の出店戦略は既存エリアでドミナントを深耕し、チェーンストアとして運営コストの改善につなげることを前提とする。大高善興会長は、「商圏人口2万人を出店の目安としている。足元1km内のシェアはよくて25〜30%くらいだが、50%を取れるフォーマットにするのが目標だ。オーバーストアなどと言っていられない」と語る。

同社の店舗数は現在203店で、福島(74店)と宮城(52店)が7割強を占める。栃木(26店)を加えた3県では、新幹線の沿線を軸としたドミナント深耕を基本戦略としている。また、福島の隣県である山形(19店)、茨城(32店)も出店エリアとなっている。
大高会長は出店戦略について、チェーンストア理論の原則に則って進めることが重要という。「店数が増えることで、チェーン全体のコスト構造が下がらなければならない。販促費、システム費、本部費用、物流費などのコスト構造が下がらないと経営が成り立たない。ドミナンスができている地域とそうでない地域では、物流コストが2倍くらい違ってくる。一番は教育の問題で、新店を開設する際、近隣店舗でしっかりと研修できるかどうかの差は大きい。出店と共にコスト構造が改善しないのは、質を伴わない成長、すなわち膨張だと考えている」
出店の目安となるのは2万人を目安とした商圏があることで、大高会長は足元1km内のシェア50%を目標とし、各店の成長を求める。
「1kmのシェアはよくて25〜30%しか取れていない。まだ8割も残されていると考え、成長を目指す必要がある。米国ではリージョナルチェーンでも数千店の規模があり、商圏シェア50%の水準で競争している。それを思えば、日本のSMはまだ夜明けの段階だ。オーバーストアだ、飽和だとは思わない。価格競争が厳しいのは同質化しているからであり、オーバーストアを理由にすべきではない」(同会長)
出店によってチェーン全体のコスト構造を改善しつつ、各店はそれぞれの目標を明確にして成長を目指す。チェーンとしての方向性は一致させながら、個店は自立した精神で運営していく。大高会長はこうした運営体制を、本部が牽引する列車ではなく、各車両が動力源を備えた新幹線に例える。
日刊流通ジャーナル2015年11月17日号より抜粋