個食を持ち寄る団欒シーンを深掘り
ヨークベニマル(真船幸夫社長)のデリカ・ベーカリーを担当する子会社のライフフーズ(松崎久美社長)は、自社工場から供給するチルド・冷凍帯の惣菜シリーズを、店頭では「だんらんデリ」の総称で展開している。家族がそれぞれ個食を持ち寄って食卓を囲むシーンを想定し、「居酒屋デリ」、「ビストロデリ」、「わんぱくデリ」、「フローズンデリ」などのカテゴリーごとに開発している。直近の店舗では「だんらんデリ」の名称に「レストラン」を加えた。購入した惣菜をイートインコーナーで食べて帰る、これからの食事スタイルを念頭にしている。

松崎社長は「だんらんデリ レストラン」が想定する食事スタイルについて、以下のように語った。「これからのイートインコーナーには、ランチやディナーを買いに来たファミリーが、購入した商品を食べて帰るのにふさわしい雰囲気が必要だ。家庭で料理をつくらないだけでなく、食べた後で出るゴミも家庭には持ち込まない。マーケットはそういう方向へ変化している」
だんらんデリは自社工場から供給するアウトパック商品で、チルド帯シリーズのスタートは前進の「レンジアップデリカ」を含めると10年近く遡る。冷凍帯の「フローズンデリ」は前期から本格化し、現在およそ50店舗に導入している。
チルド帯商品は、アイテム数に大きな変化はないものの、カテゴリーの入れ替えを積極的に進めている。「居酒屋デリ」、「ビストロデリ」などカテゴリーのイメージを設定したうえで、それに適した単品を商品化する。13日オープンの佐野田島町店(栃木県佐野市)では、「わんぱくデリ」の展開を始めた。ハンバーグやピラフなど子供が好むワンプレートの弁当(本体価格398〜428円)や、クリームシチュー(328円)、自動車をかたどった箱の弁当(598円)などを揃える。
わんぱくデリのターゲットについて、松崎社長は「購入者はシニアを想定している。お母さんは買いたがらないが、孫のためには買いたくなる」という。だんらんデリは、家庭の団欒シーンを想定したカテゴリー開発に特徴がある。
「カテゴリーは固定化せず、どんどん新しいものに切り換えていく。うまくいくかどうかはマーケットが決めることなので、とりあえず試してみてみる。新店や改装には常に新しいチャレンジをやらせる。攻撃的にテスト販売をやっていくことがお客さまにとっての新しさにつながる。成功事例は活性化を通じて既存店に広げていく。また、カテゴリーごとの客層はある程度、広く設定するようにしている。開発段階でターゲットを絞り込み過ぎるのはよくない」(同社長)

日刊流通ジャーナル2015年11月20日号より抜粋