東邦ホールディングス(濱田矩男社長)は17年、約110億円を投資し広島市安佐南区に新物流センター「TBC広島」を竣工する。TBC埼玉の自動化のノウハウを活かし、医療用医薬品では困難とされる自動ピッキング率90%を目指す。ジェネリック医薬品の品目数の拡大などでコストが増加する中、省人化を中心に物流の効率化を進める。
13年に稼働したTBC埼玉は、ピッキングロボットを導入し、自動ピッキング率を業界で高水準となる65%とした。自動化による人員配置の適正化で、人員をピーク時から148人削減した。TBC広島は、TBC埼玉のノウハウを活かし、さらなる合理化を追求する。
また同年、全国各地にあったコールセンターを東京、大阪、札幌の3カ所に集約し、オペレーターによる対応を重要取引先の受注と営業活動に限定した。このほかの受注の大半は、電子端末や自動音声による対応に切り替えた。
「まだ一部でファクシミリや電話での受注による手作業が残るが、8割以上の受注業務を自動化した。今後も人員の効率化を進めなければ、人手不足への対応やコストダウンができない。取引先の理解を得て、今期または来期中に受注の9割を自動化したい」(濱田社長)
第2四半期は経費効率化で増益
16年3月期第2四半期決算は、医薬品卸事業でC型肝炎薬の新薬が寄与したこととコスト削減が進んだことなどで増収増益となった。売上高は7.4%増の6021億8400万円、営業利益は133.0%増の61億1100万円、経常利益は64.9%増の91億6400万円、当期利益は41.6%増の42億7600万円である。
売上総利益率は0.16P増の8.97%、販管費比率は物流コストの削減や、卸と薬局での人件費の効率化、増収による固定費の比率低下で、0.70P減の7.96%となった。この結果、営業利益率は0.54P増の1.01%、経常利益率は0.53P増の1.52%となった。
子会社の東邦薬品が担う医薬品卸売事業は売上高5770億5300万円(7.6%増)、営業利益の52億7100万円(100.4%増)だった。
カテゴリー別売上構成比は、長期収載品が6.0P減の25.5%となった一方、特許品・その他は高額薬価のC型肝炎薬の取り扱いで4.3P増の33.0%となった。新薬創出加算対象品は31.4%(0.8P増)、ジェネリック医薬品(GE)は10.1%(0.8P増)だった。GEの市場拡大に伴う取扱量に対応し、メーカーに在庫管理量の支払いを要請しているほか、複数の商品がある製剤についてはメーカーを集約している。
東邦薬品の有働敦常務取締役は「C型肝炎薬の販売額は180億円だった。当社の卸価格の維持に対する姿勢や、患者まで追跡できるトレーサビリティが評価され、取り扱い卸に選ばれたと推測している。まだ治療を受けていない患者は多いと見られ、底上げの効果は続くとみている」と語った。
日刊ドラッグストア2015年12月8日号より抜粋