イオン(岡田元也社長)の15年11月第3四半期連結決算は、SM・DS事業の収益改善やドラッグ・ファーマシー事業の拡大で大幅な増収経常増益となった。営業収益は18.9%増の6兆0360億4900万円、営業利益は63.8%増の808億5100万円、経常利益は43.9%増の819億8800万円、最終損益は174億7400万円の赤字(前年同期は293億6400万円の黒字)だった。減損の増加やダイエーの事業再構築費用に関わる特別損失を計上したことで最終損失となった。また、前年同期は特別利益としてウエルシアHD株式の段階取得による差益316億円を計上していた。
事業セグメント別にみると、GMS事業とSM・DS事業で営業収益の7割強を形成する。SM・DS事業はUSMHが加わったことやダイエーの赤字圧縮により黒字転換する一方、GMS事業は改装投資や衣料・住居余暇の不振に対する販促の追加投資が膨らみ、赤字幅が拡大した。
営業利益で貢献度が高いセグメントは、総合金融事業(構成比43.9%)、ディベロッパー事業(同37.7%)、サービス・専門店事業(同22.9%)、ドラッグ・ファーマシー事業(同15.3%)となっている。
ドラッグ・ファーマシー事業はウエルシアHDを中心に再編を進めている。15年9月にはCFSコーポレーションを完全子会社化し、総店舗数は11月末で874店となった。今後は基幹システムやPOSシステムの統合に取り組む。
ダイエーの店舗再編 首都圏・京阪神は3月に実施
経営課題の1つであるダイエーの再建は、食品と首都圏・京阪神に特化する構造改革を進めている。商品分野では、生鮮・デリカを重点分野と位置づけている。これらの部門は、3四半期連続で前年クリアを続けている。エリアの集約に関し、既に北海道・名古屋・九州の店舗をグループ各社に移管した。3月1日には首都圏・京阪神の店舗を再編する。
再編後のダイエーは、都市型SMとフードスタイルストアの2業態に集約される。都市型SMは現在15店舗となり、改装前と比較可能な13店の前年比は10%増となっている。フードスタイルストアへの転換は今期2店舗で、食品は2割増で推移している。
トップバリュ売上は2.8%減
グループPB「トップバリュ」は、第3四半期で前年比2.8%減の5633億円だった。今期はシリーズの全面的な見直しを進めており、その過程で販売を休止している商品もある。
商品担当の柴田英二執行役は、「PB開発の手順や組織体制、開発領域などすべてを見直している。シリーズの9割を占める顕在化したニーズに対応する既存カテゴリーはもちろん、これまで日本市場に存在しなかった潜在ニーズの発掘にも挑んでいる。ギリシャヨーグルトの商品化や、タスマニアビーフの刷新など、高い評価を得られる例も増えている」という。
日刊流通ジャーナル2016年1月13日号より抜粋