為替変動、不採算店大量閉鎖が響く
ウォルマート ストアーズ(Walmart Stores)の2015年度決算(2015.2~2016.1)は、アメリカ国内の既存店は堅調だったが、グローバル規模で不採算店舗を大量閉鎖したことや、為替変動の影響などが影響し微減収2桁減益となった。但し為替変動の影響を除く実質売上高は増収となっている。セグメント別では、ウォルマートUSが増収減益、ウォルマート インターナショナル、サムズクラブ(Sam‘s Club)がいずれも減収減益と、どのフォーマットも苦戦している。2016年度の見通しでは、為替変動の影響を見込こんで売上高は実質横ばいと予想している。
2015年度の売上高は0.7%減の4786億1400万ドル、サムズクラブの年会費収入は2.7%増の35億1600万ドルで、合計の営業収益は0.7%減の4821億3000万ドルの微減収となった。但し為替調整後の実質営業収益は2.8%増の4994億ドルと増収となっている。またeコマースの売上高は12%増の137億ドルと大きく伸びている。
一方、営業利益は11.2%減の241億0500万ドル、純利益は10.2%減の146億9400万ドルの2桁減益だった。
荒利益率は0.3P増の24.6%と良化したが、経費率は、大量269店の不採算店閉鎖などの経費増で0.9P増の20.3%と悪化している。この結果、営業利益率は0.6P減の5.0%、純利益率は0.4P減の3.0%と収益性は低下した。
米国内の既存店は堅調
セグメント別の業績は、ウォルマートUSが売上高で3.6%増の2983億7800万ドル、営業利益で10.5%減の190億8700万ドルとなった。ウォルマート インターナショナルは売上高で9.4%減の1234億0800万ドル(実質では3.2%増の1404億8800万ドル)、営業利益で13.4%減の53億4600万ドルとなった。サムズクラブは売上高で2.1%減の568億2800万ドル、営業利益で7.9%減の18億2000万ドルとなった。なお本部関連経費その他は21億4800万ドル(前年同期は23億3600万ドル)だった。
アメリカ国内の既存店は、ウォルマートUSが1.2%増(前年度は0.5%増)、サムズクラブが0.4%増(同0.5%増)で、合計で1.0%増(同0.5%増)となっている。フリーキャッシュフローは減益が影響し、前年度の5164億ドルから5159億ドルとやや減少している。ROIも16.9%から15.5%と低下している。
2016年度の業績見通しは、為替変動のインパクトが売上高で120億ドル減と見込んでいる。このため実質の売上高伸び率を当初は3~4%と見込んでいたが、横ばいに下方修正している。
日刊流通ジャーナル2016年2月23日号より抜粋