ウジエスーパー(宮城県登米市、氏家良典社長)はTQMと集中販売の徹底に取り組んでいる。生鮮のブラッシュアップ、デリカの充実で、価値・価格の両方を追求することが基本となる。現在30店舗を展開しており今期(16年2月期)、地域密着型のSMとして生き残りを図るうえで必要な300億円を突破する見通しだ。また東北エリアは仙台市周辺への一極集中が進み、競争が厳しいが、本業以外で独自のリサイクルループと連動した地域商品の開発などによって、新しい固定客づくりに取り組んでいる。
吉田芳弘常務がSM3団体の月次発表で、ゲストスピーカーとして出席し、中長期の取り組みについて語った。
東日本大震災の影響も大きく、05年から15年の10年間で東北6県の人口は6.8%減の898万2000人余りとなった。最も減少率が少なかったのは宮城県で1.1%減の233万4000人余りとなっている。仙台市周辺の一部の地区は人口が増加しているが、津波の被害を受けた沿岸部は大きく減少している。ウジエスーパーは仙台市から北へ70㎞の登米市を拠点に30店を展開している。
「県北だけでは先行きが厳しく、いい人材を確保する必要もあり、仙台にも進出している。15年2月期の売上高は287億円だった。SMとして最低必要な300億円を目前としているが、500億円の規模は欲しい。まず300億円の壁を突破することに全社一丸となって取り組んでいる。2月21日時点で、297億円だった。
今期は2店を出店した。最終的には既存店3.9%増(全店5.6%増)で、303億円を目標としている」(吉田常務)
地域密着のSMのあり方として、1800人のパートナーのニーズを満たすことが前提になることを指摘している。
「従業員の意見、提案を取り入れ、店の中で形にすることが、TQM(トータル・クオリティ・マネジメント)のベースとなる。
問題の構造を分析し、対策を立案して、行動に移す。原信をモデルに勉強し、2010年にスタートした。最初はコピーだったが、全社統一のテーマとなり、売上予算、荒利を同時に改善することに取り組んでいる。毎週の会議も数字ではなく、TQMの進捗状況を確認し、現場のみえる化が図られている。問題解決の成功事例は、水平展開を徹底させるようにしている」(吉田常務)
店舗、部門のほか、組織を横断し現在、400のチームが稼働し、改善活動に取り組んでいる。そのひとつで、メニューを切り口に複数の部門が連携した売場づくりの成果がみられ、競合店が真似のできない仕組みが確立されつつある。
日刊流通ジャーナル2016年2月26日号より抜粋