来年4月の増税を見越し、外食からのシフトに備える
ミニストップ(宮下直行社長)の16年度商品施策は、好調な店内加工FFのさらなる充実に加え、米飯その他の即食・日配品の強化に重点を置く。来年4月に予定される消費税率のアップを見越し、外食からのシフトが見込める中食・内食ニーズの取り込みに備える。これら商品の陳列スペースを広げるため、2温度帯の3尺オープンケースを増設する改装に取り組んでいる。前期は20店、今期は70店でオープンケースを増設し、効果を検証する。


宮下社長は、軽減税率の導入で外食の消費税が10%に引き上げらた場合、外食からコンビニの即食関連にシフトするニーズは構造的に増えると指摘する。
「タバコを例に考えると、08年にタスポが導入されて以降、タバコは自販機よりもコンビニで買うものという認識が一般化した。このように、制度の変更に伴う消費行動の変化は大きい。来年4月以降は、外食からコンビニの即食にシフトするニーズはかなりあるだろう。16年度は予想される変化に備えるための商品開発を進める」(宮下社長)
15年2月期は、既存店ベースで店内加工FFが5.9%増と好調だった。コンビニエンスストア部門も前年並みとしており、なかでも米飯類は前年割れのトレンドが反転した。
商品担当の堀田昌嗣取締役常務執行役員は、15年度の成果として店内加工FFの好調と、米飯・デリカの伸長を挙げる。「15年度はFFを躍進させることに集中した1年だった。また、米飯・デリカは地道な改善を続けてきた成果が実績に表れるようになった。これらの商品で日常使いに対応し、固定客化へ向けた下地ができた。今期は小商圏における付加価値の深掘りをテーマに取り組んでいく」(堀田取締役)
オープンケースの標準を25尺に
中食・内食対応の強化に向け、PB「トップバリュ」などでチルド・冷凍の惣菜商品を拡充する。レトルトパウチ惣菜や米飯類のほか、肉や魚惣菜の導入を進める。また、寿司をチルド商品としてロングライフ化し、カテゴリーの育成を目指す。握り寿司はこれまで使えなかったマグロを加え、698円など高価格帯の商品にもチャレンジする。
米飯・デリカや和日配などの即食品を拡充するうえで、オープンケースの標準規模を従来の22尺から25尺に拡大した。
宮下社長は、「前期、首都圏の20店で実験したところ、高い成果が出た。もう少しエリアを広げ、さらに70店でこの取り組みを検証する。店によっては28尺になるところもある。ただ、オープンケースを広げただけで客数が増えるわけではなく、商品力が伴わなければならない。増設は慎重に進めていく」としている。
日刊流通ジャーナル2016年3月14日号より抜粋