生鮮コンビニ「ローソンストア100」を運営するローソンマートは3月1日、社名をローソンストア100(河原成昭社長)に変更した。15年度は不採算店300店強を閉鎖する一方、本体価格100円のシングルプライスストアとしてMDの再構築に取り組んできた。既存店は4月以降、前年クリアを継続している。事業戦略を再構築する過程で、1月末時点で出店は1店にとどまっている。ストアブランドと社名を統合した今後、シングルプライスストアとしてフォーマットを磨き、大都市圏を中心に新たな成長戦略を描いている。
ローソンストア100は、08年に子会社化した九九プラスのSHOP99を転換し、10年3月に総店舗数が1000店を突破した。14年2月に九九プラスの社名をローソンマートに変更したのは、シングルプライスストアの縛りを無くし、生鮮コンビニ「ローソンマート」の多店化を図るためだった。しかしこの計画は1年足らずで修正を余儀なくされ、15年度は期初から不採算店の大量閉鎖によって事業の再構築を進めた。
1月末時点で314店を閉鎖しており、そのうち244店が4月までの2カ月間に集中している。東北と九州からは撤退し、展開エリアを関東・中部・近畿の大都市圏に集約した。現在の総店舗数は811店で、前期末の75%ほどになっている。
不採算店の整理と同時に、MD政策は本体価格100円のシングルプライスを再徹底する方針に変更した。約4000アイテムを品揃えするなか、ほとんどの商品を100円で提供する。100円の縛りを無くして幅を広げようとした2年前の政策から、100円の縛りの中で、最大限のバリューを追求する方針に舵を切った。
中心となるのはストア100独自のPB「バリューライン」で、生鮮、日配、グローサリーのほか、雑貨でもシリーズ品を展開する。食品は、生鮮・惣菜を含め、使い切りや適量のサイズMDを徹底する。無駄のない容量でシングルプライスを実現する一方、ローソンファームなどで取り組む「中嶋農法」によって栽培したキャベツの千切りや、カットレタスをバリューラインとして商品化している。また、「ささがきごぼう」や「きんぴらごぼう」など、メニュー用途を限定したカット野菜も中嶋農法のこだわり野菜として提供する。いずれも本体価格100円に設定しバリューを高めている。
青果で顧客の支持を高める
15年度は青果の相場高が続くなか、本体価格100円のMDを続けることで顧客の支持を得た。既存店は客数・客単価とも伸長し、10月以降は4%を超えている。11月以降、野菜の相場が下がった局面でも青果の売上は伸び続けている。青果を目的に来店する顧客は日配やグローサリーなども合わせて購入するため、青果の支持がすべてのカテゴリーにプラスの影響を及ぼしているという。
今期の出店は1月末時点で1店にとどまっており、本格的な出店再開は16年度の課題となりそうだ。ローソンの玉塚元一社長は、15年10月時点で既存の展開エリアである東名阪の大都市マーケットを中心に、新たな出店で成長を目指すことを明言している。
日刊流通ジャーナル2016年3月11日号より抜粋