1階が売場、2階をネットスーパーの在庫スペースに
西友(上垣内猛CEO)は今期、1階がSMの通常売場、2階をネットスーパーの在庫スペースとする「ハイブリッド店舗」を開設する。東京都練馬区で6月頃のオープンを予定している。SM業界3団体の定例会見に出席した上垣内CEOは、ハイブリッド店のねらいについて「リアル店舗と在庫を共有するやり方だと、ネットスーパーのオペレーションが制約され、受注量が限られる。ネットの売れ筋は別に在庫を持ち、ピックアップのオペレーションを効率化することで、現状では十分に応え切れていない需要に対応する」と語った。
同社のネットスーパー事業「西友ドットコム」は、会員数が120万人を超え、15年度の売上は30%増と伸長を続けている。首都圏を中心にネットスーパーの需要は高く、対応キャパが限界に近い店も多いという。
「毎日のようにキャパの85〜90%のレベルで推移し、お客さまに配達日時を変更していただくケースも増えている。売場から商品をピックアップするやり方では効率が上がらない。フロアを分けてリアルとネットのオペレーションを分離させることにより、受注量を増やしたい。この仕組みを既存店に入れることはできないので、6月頃を予定する新店で試す」(上垣内CEO)
同じ建物内でリアルとネットの在庫を分けるオペレーションは、ウォルマートグループの中でも初めてのケースとなる。
「英国やカナダではダークストア(ネットスーパー専用の倉庫型拠点)をやっているし、ほかにも世界でさまざまな取り組みをしている。ハイブリッド店舗は日本の環境に合わせたもので、グローバル戦略の中でも実験的な位置づけになる。ネットとリアルの在庫を分けるといっても、一部商品は共有することになる。オペレーションは複雑になり、どのような課題が出てくるか、やってみないと分からない点も多い。それでもやってみようというウォルマートとの合意もあり、新しいフォーマットにチャレンジする」(同CEO)
日刊流通ジャーナル2016年3月22日号より抜粋