セブン―イレブン・ジャパンは、おにぎり、サンドイッチなどデイリーの基礎商材のブラッシュアップを繰り返すと同時に、セブンカフェ、ドーナツなど新カテゴリーの開発に取り組んでいる。既存店は2月まで43カ月連続、前年をクリアした。15年度、既存店の平均日販は初めて70万円台(70万3000円)を突破した。セブン―イレブンの店頭がグループのオムニチャネル戦略の拠点機能を果たすがMD面でも、積極的に新しい領域に挑戦する。また商品開発自体の発想を変え、ネットでの販売を前提とする。
15年度、セブンプレミアムの売上高は既存店で9.7%の伸びをみせた。グループ全体の売上高は1兆0010億円で目標の1兆円を達成した。このうち、10億円以上を売り上げるデイリー商品は前の期と比べ17アイテム増の107アイテムとなった。
昨年12月に商品本部長に就任した石橋誠一郎取締役は前職が西日本プロジェクトリーダーだった。それ以前に全商品部門のマーチャンダイザー、商品部長を務めており、「すべての商品で差別化することを実現したい」と語っている。16年度の戦略は大きく変わらないという。
「徹底した価値訴求戦略、圧倒的な差別化をさらに深めていきたい。品質、価格、値ごろ感を出し、新しい品揃えを拡充する4本柱で取り組んでいきたい。食の外部化ニーズへのさらなる対応で、基本カテゴリーの品位をさらに向上させる。デリカ、デイリーについては既存店が75カ月連続、売場が拡大している冷凍食品は55カ月連続、前年をクリアしている。環境が変化することを見越して取り組んできたカテゴリーは間違いなく成果が出ている」
一方、取り組みが遅れていたパンに加え、親和性が高いセブンカフェをリニューアルし一体となった活性化を進める。主食の米とパンは消費支出が逆転し、15年の1世帯当たり年間支出額はパン2万9993円、米2万1869円と過去最大の開きとなった。米飯、デイリーと同様、専用工場を店の近くに配置しているという強みを商品開発、品質、物流面で発揮していく。
専用工場をもつことでセブン―イレブン品質を保証することができる。食の安心・安全の徹底でイーストフード、乳化剤不使用のほか、トランス脂肪酸の軽減を継続してきた。さらに弁当と同じ20℃の定温で配送できるメリットとして、売れ筋のホイップクリームを使った商品で差別化を図ることができる。定温管理ができないとホイップクリームが溶ける。製造、物流、販売までを一貫することで、口どけのいいクリームを味わえる。
今年度はパンの強化で原材料の小麦粉を変え、デニッシュ、コッペパン、ハード系とカテゴリーごとに生地、製法を見直し、食感を高める。併せて、具材の設計も見直す。例えばコロッケパンは生地に合わせ、コロッケの素材もしっとりしたジャガイモに切り替え、具材と一体感をもたせた。またハード系の練乳ミルクフランスは練乳を20%増量し、パン、クリームの両方のおいしさを味わえるようにした。3月に先行発売した北海道地区の900店のパンの売上は3割増で推移しているという。
日刊流通ジャーナル2016年4月18日号より抜粋