イオン(岡田元也社長)はGMS改革が軌道に乗り始めた。営業・商品改革、改装によるイオンスタイル化によって、荒利益率が改善している。今期はダイエーからの承継店舗を含め、新しい専門ショップなどの導入などによって、改革を継続する。専門性をもった新しい売場をユニットと称し、そのブラッシュアップに取り組んでいる。チーズショップ、オーダーメイドのドレスシャツのショップなどを開発し、これが荒利益率の改善に寄与しており、新店を含め、商圏特性に合わせて導入していく。
GMS事業はイオンリテールが改革の成果で増益となったものの、イオン北海道、イオン九州が店舗年齢の高いダイエー店舗を承継した影響もあり、営業収益2兆8382億円(5.9%増)、営業利益93億円(22億円減)となった。
イオンリテールは改革の成果が第4四半期に現れ、増収増益を果たした。営業収益は599億円増の2兆1771億円、営業利益は23億円増の48億円、経常利益は2億円増の29億円、当期純利益は213億円増の161億円である。既存店は客数2.3%減、客単価2.1%増の0.3%減だった。回復が顕著だった第4四半期は1.2%増となっている。商品別では衣料品1.9%減、食品0.3%増、住関連0.7%減となる。
岡崎双一社長は構造改革の取り組みについて、「コストを削減して利益を出すのではなく、トップラインを上げ、荒利益率も改善して、利益を伸ばすことをねらった。一気に進まず時間がかかり、増益だが、計画を下回った」としている。商品、売り方を変え、改装によるイオンスタイル化を進めた。
「上期は苦戦を強いられ、人件費の負担増もあったが、下期に入って新しい企画で攻めに転じた。11月は暖冬で苦戦を強いられたが、第4四半期に入って改革の成果が現れ、1月、2月は荒利益率が1.8P改善した」(岡崎社長)
荒利益率を改善した店舗は12月が325店、1月が343店、2月が338店だった。うち1.5P以上の改善は12月69店、1月240店、2月231店となっている。
荒利益率は0.3P増の27.7%で、商品別では衣料品37.7%(0.2P増)、食品24.6%(0.6P増)、住関連27.4%(0.2P減)となった。
新店はイオンスタイルを中心に5店を新設した。今年度は新店5店、改装64店を計画している。今後、GMSのあり方について、「いままでゼネラルを追求してきたが、その部分が随分小さくなって、新しい小さな塊ができている。お客さまに、いかに満足いただけるか、昔からいわれている変化に対応できるかということに尽きる」(岡崎社長)と語っている。
日刊流通ジャーナル2016年4月20日号より抜粋