ローソン(玉塚元一社長)は、加盟店を含むチェーン全体の業務改革として「1000日全員実行プロジェクト」を立ち上げた。コンビニの次世代モデル構築を目指すもので、コンビニエンス(利便性)からエッセンシャル(必要不可欠)の存在になることを掲げ、品揃えやサービス機能の進化と、それを支える仕組みづくりに取り組んでいる。具体的な施策は従来の取り組みを発展させることがベースだ。16年度はSM代替機能の拡充、17年度は店内厨房・宅配の展開拡大、18年度はヘルスケア分野の拡大と、年度ごとに重点テーマを設定する。
玉塚社長は、1000日プロジェクトのねらいについて次のように語っている。
「現在のシステムを構築した10年近く前の環境と、今から5年くらい先の環境は大きく異なる。マチの暮らしになくてはならない存在となるため、全員参加によってローソンの構造を変える必要がある。デジタルを活用して仕組みを変え、それに基づいてアナログ的に働き方を変える」
プロジェクトで目指す次世代モデルは、生活全般を支援する日常に必須の品揃え・サービス機能を実現することだ。それを支える仕組みとして、小商圏型製造小売業の中身の進化と、高度な店舗オペレーションによる生産性の向上を追求する。
品揃え・サービス機能は、年度ごとに重点テーマを設定している。16年度はSM代替機能の拡充に向け、PB「ローソンセレクト」を強化する。既にオリジナル惣菜やカット野菜の展開を始めているほか、6月には「おやつごろ」として展開してきたオリジナル菓子をセレクトに切り替える。パック惣菜の原材料は、デリカや米飯などと共通化を進めていく。
17年度は店内厨房と宅配を重点テーマとする。宅配については15年度、佐川急便のSGホールディングスとの合弁会社「SGローソン」による配送サービスがスタートしている。佐川急便の物流で店舗まで荷物を運び、半径500mを目安に専任スタッフが宅配する。宅配便の仕組みにローソン商品の販売や家事代行の取次サービスを組み合わせるモデルを目指している。現在は東京都世田谷区、大田区、足立区の一部店舗で検証している。この取り組みに加え、物流センターから宅配する仕組みも実験する予定だ。
「物流改革の一環で、3温度帯を統合した仕組みづくりに取り組んでいる。店舗への物流に宅配をドッキングするようなかたちを検討している。宅配のキモは物流であり、ここの採算をどう取るかを考えている」(玉塚社長)
18年度のテーマにはヘルスケア領域の拡大を挙げる。年度ごとのテーマはその年の重点強化ポイントという意味で、その他の年度でも取り組みを継続していく。
日刊流通ジャーナル2016年5月9日号より抜粋