ヤオコー(川野澄人社長)は、5月時点で総店舗数が150店となっている。チェーン規模の拡大に対応する目的で今期、展開地域を4つに分けるエリア制を導入した。仕入の権限を与えて地域独自のMDを強化するほか、店長以下の人材教育もエリア主体で進めていく。また、デリカ・生鮮センター(埼玉県東松山市)の2期工事に加え、埼玉県熊谷市で2温度帯の物流センターの建設に着手する。いずれも稼働は17年度を予定している。物流センターは3カ所となり、200店を超える店舗網への対応が可能となる。
新たに導入したエリア制は、商勢圏を狭山、伊勢崎、千葉、横浜の4つに分割する。狭山エリアは埼玉全域、横浜エリアは東京・神奈川とするなど、エリア分割に店舗数の偏りは考慮していない。それぞれの地域特性への対応と、教育の強化につなげていく。生鮮部門はエリアごとにバイヤーやトレーナーを配置し、店長塾をはじめとする各階層の教育もエリア単位で行う。
川野社長はエリア制のねらいについて、「生鮮はそれぞれの地域特性に合った商品が必要なだけでなく、1カ所でまとめて仕入れることが難しい規模になってきた。MDは共通8割、地域対応2割のイメージで進めていく。また、これだけの店舗網になると、中央だけできめ細かい教育をするのも難しい。現場にトップの顔が見えるチェーンこそが強いものなので、エリア長は経営トップの代わりとなり、人材教育を担っていく」としている。
MD・教育体制の再編だけでなく、長期経営ビジョンである250店舗・5000億円に向けたインフラ整備を進める。デリカ・生鮮センターの2期工事の投資額は約45億円、新しい物流センターには約65億円を見込む。
「物流センターは既存の狭山、千葉センターのキャパが限界となっている。埼玉県熊谷市に2万7000坪の用地を確保しており、物流センターのほか将来はデリカ・生鮮PCを併設する余地もある。1カ所のセンターでカバーするのは80店が限界なので、250店までにはさらに新しいセンターが必要になる」(川野社長)
日刊流通ジャーナル2016年5月19日号より抜粋