
セブン&アイ・ホールディングスは26日、定時株主総会および取締役を開催し、正式に井阪隆一社長、後藤克弘副社長が就任した。同日午後、セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長(19日就任)を含め、記者会見し、今後の戦略について説明した。ホールディング、事業会社の経営陣が一枚岩となって、課題を共有し、対応していく。引き続き、セブン-イレブンが絶対的な成長エンジンの機能を果たす。「海外戦略やオムニチャネル戦略においても、セブン-イレブンの可能性は無限大である」(井阪社長)という。
後藤副社長は1989年にセブン-イレブンに入社した。その後、鈴木敏文前会長の秘書となり、2000年5月にイトーヨーカ堂の取締役秘書室長に就任した。鈴木前会長の傍らで、グループのさまざまな情報に接してきた。02年5月、常務取締役秘書室長に昇格した際、井阪氏はセブン-イレブン・ジャパンの取締役商品本部食品部長に就いた。
「その後、後藤氏は数々の課題を解決して、05年にホールディングスの取締役最高管理責任者(CAO)に就任した。グループ150社を管理し、熟知している。私を補佐してもらい、二人三脚で経営に当たりたい」(井阪社長)
後藤副社長も「鈴木会長のいるところはグループ内外の情報の集積地であり、そこにいて仕事をしていたという意味で、グループ全体の情報もしくはグループの目線みたいなものを多少もっていると思う。井阪体制を支える機能のひとつとして、役割を果たしたい。また、それを期待されていることを強く認識している」と語った。
セブン-イレブン・ジャパンの古屋社長はオペレーション本部長、リクルート本部長として営業の第一線に立ってきた。「古屋社長は09年に私がセブン-イレブンの社長に就任して以来、近くて便利な店づくりを実現してくれた信頼できるチームメイトである。近くて便利政策の実務経験者として、現場の陣頭指揮を執ってきた。オペレーション部門、店舗開発部門に長く携わり、加盟店や社員の信頼も厚く、強いリーダーシップを兼ね備えている。セブン-イレブンについても、古屋社長と二人三脚でしっかり推進していく」(井阪社長)
古屋社長は加盟店の売上、利益を上げ続けることが自らの使命であることを断言した。
「井阪社長と7年間、近くて便利の方向感で動いてきた。加盟店といっしょに、近くて便利を実現したい。まだ道半ばであり、スピードアップを徹底し、幹部と進めたい。オペレーション、店舗開発が長く、現場を理解しているつもりである。店をもっときれいに、感じよく、お客さまに喜ばれるようにといい続けてきた。これを徹底させることで、現場力を高めたい」
個別面談をスタート
今後のグループのあり方として、持ち株会社と事業会社が一体となって、課題を明確にし、そのうえで具体的な戦略、経営資源の配分を決定する。
「事業会社が抱える経営課題を共有し、解決のための対応策、その工程表をいっしょにつくり上げ、経営をサポートしていく。セブン-イレブン・ジャパン、セブンーイレブン・インク、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、そごう・西武、セブンフードシステムの主要事業会社6社の社長はじめ経営陣と毎月、個別のワンオーワンミーティングを実施していく。早速、そごう・西武の松本社長をはじめ経営陣とミーティングをキックオフする。ここでの対話を通じて、PDCAをしっかり回しながら、成果につなげていくことが新体制の目指すべき経営スタイルである。そのうえで、持ち株会社としての機能をもう一度、整理したい。本来の役割である経営執行のサポート、監督、透明で最適な資源配分の3つの機能を担うことで、持続的な成長と企業価値の向上につなげたい」(井阪社長)
ホールディングスの執行部と各事業会社の間で議論を重ね、100日内に課題を抽出し、グループの成長戦略と構造改革をプランニングする。その内容を第2四半期をめどに公表する。
GMS、百貨店の不振がグループの課題のひとつとなっているが、業態論ではなく、1店1店の地域における役割を踏まえ、店舗機能を見直す。
オムニチャネル戦略については、不退転の決意で取り組むことを明らかにした。「使い勝手をよくするためのプロジェクトを立ち上げる。eコマースは確実に伸びており、8%のシェアをもつようになった。リアルだけでは取り残される。オムニチャネルには真正面から取り組む」(同)
日刊流通ジャーナル2016年5月30日号より抜粋