イオンの岡田元也社長は、このほど開催した株主総会でグループのガバナンス体制について説明した。経営の透明性を高めることを目的に2003年から委員会等設置会社に移行し、経営の執行機能と監督機能の分離を進めてきた。委員会の議長をすべて社外取締役にするなど、独自の基準を設定している。「コーポレート・ガバナンスは、どのような企業になりたいかを前提に、あるべき体制を考えるものだ。会社法や東証の基準で決めるものではない。社外取締役の力が重要であり、ふさわしい人物を選ばないと委員会は絵に描いた餅に終わる」(岡田社長)
イオンは03年当時、上場企業では2番目という早い段階で指名・報酬・監査の3委員会を設置した。その判断について岡田社長は次のように語る。
「監査役設置会社と委員会等設置会社を選べる状況で、はるかに高い透明性を確保できるという理由から委員会等設置会社を選んだ。タルボットを子会社にしていたことから、委員会等設置会社のさまざまな面を深く理解したうえでの決断だった。今でも日本には普及しない欧米型の企業統治で、社外取締役の過剰な介入を招くといった意見もみられるが、我々は決して欧米型とは思っていない」
取締役の過半数を社外役員で構成する企業は、委員会等設置会社のなかでも少数派だ。会社法の基準では3委員会の議長は過半数を社外取締役とする規定だが、イオンはすべて社外で構成する。監査委員会の構成メンバーも過半数と定められているところ、全員を社外取締役としている。さらに取締役会の議長には非執行の役員をあてるなど、経営の執行と監督の分離を徹底する。
社外取締役の独立性
私的な交友がないことが前提
このように社外取締役のウェイトが高い体制において、外部からどのような人物を招聘するかについても独自の基準を設定している。
「社外取締役には、各分野の第一人者でリーダーシップに優れ、経営の経験も豊富な方にお願いしている。また、独立性を保つため、社長をはじめとする執行部と私的な交友関係がないことを重視している。社外取締役の報酬は、イオンに依存されることがないような範囲で、業績とは連動しない固定報酬とし、株式の保有も原則として認めていない」(同社長)
日刊流通ジャーナル2016年5月31日号より抜粋