日本生活協同組合連合会(浅田克己会長)がまとめた15年度の全国地域生協(130生協)の事業概況によると、店舗・宅配事業を合わせた供給高は、推計で2.6%増の2兆6653億円だった。宅配事業は増収経常増益、店舗事業も増収で9000億円台に回復したものの、経常赤字が続いている。共済事業などを含む総事業高は2.6%増の2兆7731億円で、経常剰余率は1.86%(0.14P増)と改善している。
全国生協の組合員数は、2.3%増の2105万人となった。13年度に初めて2000万人を突破して以降も順調に会員数を増やしている。世帯加入率は0.5P増の37.0%だった。嶋田裕之代表理事専務は、「世帯加入率はビジョンとして5割を掲げている。既に5割を超えているのは宮城・兵庫・北海道・福井の4地区で、宮崎・岩手・香川・奈良県が45%超で続いている」という。
宅配事業は、供給高が2.1%増の1兆7327億円で、このうち個配は4.9%増の1兆1750億円だった。経常剰余金は7.8%増の622億円となっている。
全国的に子育て世帯やシニアを対象とした配送手数料の割引が広がり、生協全体の配送手数料は2.7%減となっている。また、人件費や物流コストも増加傾向にある。そうしたなか、売上の増加や本部管理費の合理化などによって経常増益を達成している。
「全国の生協がさまざまな取り組みで収益を改善している。取り扱い商品に関してはキット商品や夕食宅配など、惣菜に近い分野にも領域を広げている。また、ネットを活用した受注や情報提供なども充実させ、宅配の利便性を高めている。これらは各地の生協がそれぞれ取り組んでおり、全国的に標準化されているわけではない。成功事例を共有化していけば、全体のさらなる底上げが見込める。配送手数料の減額は、長期的な視点に立てば今後も必要と思われる」(嶋田代表理事専務)
店舗事業 新店や改装効果で増収
店舗事業は、供給高が3.3%増の9024億円、経常損失が112億円(前期は149億円の赤字)だった。13〜14年度は店舗閉鎖などで9000億円を切っていたが、不採算店の整理に目処がつき、改装店・新店の寄与で増収に転じた。新店は全国計で13店だった。出店数は前期に比べ5店減少している。総店舗数は13店減の965店となっている。
改装は生鮮・惣菜の強化をテーマとしており、これらの構成比が高まることで荒利高の改善につながった。ただ、人件費などの事業経費を引いた直接剰余金(140億円)に対し、本部管理費(245億円)が大きい構造に変化はない。
日刊流通ジャーナル2016年6月24日号より抜粋