イオン(岡田元也社長)の5月第1四半期連結決算は、GMS事業と国際事業の営業赤字が響き、増収減益となった。イオンリテールの岡崎双一社長は、赤字幅が拡大した要因と今後の取り組みについて、「荒利率の改善は継続しているものの、思ったより売上が伸びなかった。これまで取り組んできた価値ある商品の訴求を続ける一方、価格訴求のウェイトを高め、売上を戻す必要がある」と語った。
GMS事業の中核であるイオンリテールの16年5月第1四半期業績は、営業収益5379億円(5.7%増)、営業損失62億円(前年同期は損失54億円)だった。既存店は1.7%減と前年を割ったが、荒利益率は1.5P改善している。
岡崎社長は荒利率の改善について、前期から進めてきた地域カンパニーへの権限移譲の成果が現れたと指摘する。
「農産をはじめ生鮮品はとくに、本部集中からカンパニー単位で品揃えできるようになってきた。近場から調達することで鮮度も上がり、売上・荒利とも改善している。衣料品と住居余暇は課題だが、衣料品も本部主導からエリアごとに商品や数量の選定を行うようになった。それにより、売価変更の削減につながっている」(同社長)
一方、売上減に対しては、前述のように価格訴求を含めた対応を強化するという。「仕入れの変化に伴い、荒利率は上がってきた。次はどんな状況でも売上を取れるよう、各カンパニーが柔軟に対応できる体制を目指す。売上の回復はGMS改革に必要なテーマだ。イオンスタイルストアへの改装に手応えを感じてはいるが、現状に満足しているわけではない。改装効果が本格化するまで3〜4カ月はかかる。計画通り、活性化を進めていく」(同)
日刊流通ジャーナル2016年7月8日号より抜粋