全日本食品(平野実社長)は9月からスタートする新年度、仕入を一元管理する体制づくりを進める。より競争力のある売価を目指し、地域間のばらつきを解消していく。MDの強化ポイントと位置づける生鮮・惣菜は、本部スタッフの教育を強化することでリテールサポートの充実を図る。また、北海道で実験中の惣菜PCを他のエリアにも広げていく。そのほか新POSシステムの導入を本格化する。レジ画面に購入履歴が表示される新機能を搭載し、顧客とのコミュニケーションに活用する。
一部店舗で先行していた新POSシステムの導入を本格化する。購入履歴に基づいて顧客別に発券するクーポンがレジと一体化するほか、新機能としてチェッカー側の液晶画面には顧客の購買履歴や累計ポイント、前回の来店日などが表示される。平野社長は、新POSレジの活用について次のように語る。
「お客さまの名前が表示されるわけではないが、購入金額の高い顧客の画面には星マークが表示され、どのようなお客さまかすぐに分かるようになる。そのときのバスケットだけでなく、購入履歴も踏まえてお客さまを理解し、コミュニケーションを深めることがねらいだ。単に上客には丁寧に接するというだけではない。前回の来店から間があいたお客さまや、ヘビーユーザーではないお客さまに対しても、会話を促すツールになるよう活用していく。地域密着の加盟店だからこそ、お客さまとのコミュニケーションを深めなければならない」(同社長)
新POSのリリースと合わせ、加盟店には改めて独自FSPの実施を求めていく。現状の実施率は70%強だが、来期末には80%到達を目指す。
レジの精算の際、カード会員には前述のように購買履歴に基づいたクーポンを発券し、次回の来店を促す。このクーポン券に加え、新POSの本格導入に合わせ、専用IDでログインする会員サイトを新設する。会員ページには購入履歴に基づいたお買得情報が表示されるほか、購買履歴の確認もできる。店頭ではカードを携帯していなくても、スマホなどでバーコードを表示することで会員サービスを受けられる。
「来店しなくても、加盟店とお客さまを結ぶツールとして活用していく。若い加盟店経営者の関心は高く、30~40代のお客さまの獲得にもつながるだろう」(同社長)
日刊流通ジャーナル2016年8月29日号より抜粋