
ファミリーマート(中山勇社長)はこのほど、今年度版おでんの展開を本格化した。伸長している惣菜需要を取り込む商材のひとつと位置づけ、つゆ・具材・什器を全面刷新したほか、10月のピーク以降も売上の山を維持するため、気温の低下に合わせて商品設計を見直す。
商品本部ファストフーズ部の島田奈奈部長は、おでんを強化するねらいについて次のように語る。
「おでんは苦戦しているカテゴリーだが、惣菜需要を取り込む商材としてコンビニでの利用のされ方を変えることにより、もっと伸ばせると考えている。今年のおでんは昨年10月から開発に着手し、協力メーカーとは原材料の素材を検討するところから議論を積み重ねた。つゆや畜肉商品の一部は冷凍からチルドに切り換えるなど物流も見直している。これまでにない全面刷新により、おでんを活性化する第1歩としたい」
今年のおでんつゆは、経時劣化に耐えられる設計を追求して原材料や配合を見直した。カツオ節の香りやコクを長時間にわたって維持するため、カツオ節そのものの製法を変更するなど、協力メーカーの知見を活かしている。時間が経過しても透明度の落ちないつゆは、おいしさの面でも経時劣化を防ぐという。こうした特徴をベースに、地域の嗜好に合わせて昨年の5パターンから7パターンに細分化して商品化する。
具材は、つゆの旨味を吸収しておいしくなるものと、つゆに旨味を加えるものとに大別し、その性質を踏まえてほぼすべての商品をブラッシュアップした。「焼ちくわ」(税込105円)は原材料のスケソウダラのグレードを上げ、「熟成あらびきウインナー」(120円)は72時間以上熟成させた原料肉を使用し、物流の温度帯を冷凍からチルドに変更した。温度帯の変更は、旨みや食感の改善につながるという。また、昨年までは具材の調味液とおでんつゆが異なる商品も多かった。今年はそれを統一することで、味わいの一体感を高めている。
そのほか什器にかぶせるフタを変更し、上面に特殊フィルムを張り付け、くもらない設計としている。フタがないと衛生的に不安という顧客の声と、フタをつけて曇ってしまうと訴求力が落ちるという課題に対応した。
日刊流通ジャーナル2016年8月26日号より抜粋