
ローソン(竹増貞信社長)は15日、三菱商事による公開買付け(TOB)を経て同社の子会社となった。三菱商事は1440億円をかけたTOBにより、保有比率を33.4%から議決権ベースで50.11%に高めた。グループとして協業体制を強化することで、三菱商事は消費者起点の商品・サービス開発の進化を目指す。ローソンは三菱商事のリソースを活用することにより、店舗運営を含めた次世代型コンビニモデルを構築するほか、海外展開の加速につなげる。
三菱商事の生活産業グループCEOである京谷裕常務執行役員は、ローソンを子会社化したことについて次のように語った。
「ローソンと業務提携した2000年当時は、失われた10年と言われて経済が停滞し、人口減少も目前に迫っていた。量の拡大が限界を迎えたことへの危機感は、生活必需品を扱う生活産業グループにとっては切実なものだった。原料起点から消費者起点に考え方を変えたときであり、最終消費者のニーズを把握し、商品やサービスの開発につなげていく必要があった。世界一厳しいと言われる日本の消費者に向けて構築したビジネスモデルは、海外での成長にもつながると考えていた。
2000年以来、我々の戦略は一貫してリテール寄りにシフトしてきた。TOBは大きな投資には違いないが、急に出てきた戦略ではなく、これまでの経緯を踏まえたものだ。今後はローソンを通じて商品やサービスを直接、消費者に届け、その結果を分析して次の商品・サービスにつなげてく。このような消費者起点の価値創造を継続していくうえで、全国1万3000店もの顧客接点は我々にとって欠かせないものと判断した」
また、竹増社長は三菱商事のTOBに賛同した理由として、業務提携から17年に及ぶ取り組みの中で、社内各層の相互理解が進んだことが前提になっていると語った。
日刊流通ジャーナル2017年2月20日号より抜粋