フジ(尾﨑英雄社長)は今年9月、創業50周年を迎える。取引先組織がこのほど松山市内で記念式典を開催し、尾﨑社長が50年の歴史、企業理念を紹介すると同時に、17年度の政策についてプレゼンテーションを行った。トップラインの拡大が難しい状況にあって、経営改革を進め、経常利益100億円が視野に入った。「また、50周年を機に次なる高みに向け、経営品質を磨いていく」(尾﨑社長)。リージョナルチェーンとして、店、商品、暮らし、地域、人の視点から役割を果たしていく。
フジは1967年9月、広島市の繊維卸売業の十和の小売部門として発足し、翌月、宇和島市に1号店をオープンした。当時、流通革命に触発され、十和100年計画の議論の中で、小売業のフジの設立を決定したという。
「セルフサービスを売り物に、生活用品を値ごろで大量に販売するスーパーストアが誕生した。衣料品からスタートし、半年後に食品を加え、フルライン構成の店舗となった」(尾﨑社長)
91年に親会社の十和はアスティに社名変更してヨンドシーホールディングスの事業会社となった。ヨンドシーホールディングスはジュエリーアクセサリーのSPAで、フジとアスティは親子から兄弟会社の関係に変わった。「私たちのDNAは十和の進取と和の精神が宿っている」(尾﨑社長)
2016年度は「コミュニケーションカンパニーを目指して」という経営方針を掲げた。より、顧客、地域との関わりを深めていくものである。「ある意味、私たちの仕事は暮らし、または地域の未来をつくることでもある。いま、お客さまは店の機能、品揃え、鮮度、味、価格、センス、サービスを大切にしながらも、経営理念への共感も意識しておられる。私たちのバックボーンに、そうしたものをしっかり刷り込んでいかなければならない。具体的には、店頭でお客さまの満足の声をいただき、それを励みに日々の活動の水準を上げていく。超成熟社会にあって、待ちの商売ではお客さまが動かない。自ら考えて工夫し、発信ししかけていく。私たちの現場はすぐに結果が出るという良さがある。とにかく、お客さま満足につながることだけに集中してコストをかける。そんな取り組みを大切にしてきた。そのためには基本である整理・整頓・清潔・清掃・収監の基本を徹底させることによって、管理コストを省き、そうすることでムラがみえてくる」(同)
事業拡大の推進では広島県廿日市市にSMをオープンしたほか、高知県の1号店、中村店をリプレイスしSMを新設したほか、旧店の跡地にレデイ薬局がオープンした。またフジグラン重信店、フジグラン緑井、和気店の大型改装を実施した。そのほか、長野県飯山市との連携でスマイルファーム飯山を設立し、障害者の就農施設を開業した。地元農家の協力を得ながら信州野菜を生産し、店頭で販売する。
日刊流通ジャーナル2017年3月21日号より抜粋