セブン&アイ・ホールディングス(井阪隆一社長)は主力のコンビニエンスストア事業を徹底強化する一方、低迷するGMS、百貨店の構造改革を進める。コンビニエンスストアは今期から、セグメントを日本、米国に分離し、それぞれの戦略、業績推移を明確にする。セブン-イレブン・ジャパンは、人件費・社会保険の適用拡大などを背景に9月から当面、チャージ1%特別減額を実施するほか、ITや新しい機器の導入で省力化をサポートする。17年度、日米のコンビニで6932億円の大型投資を計画している。
セブン-イレブン・ジャパンのチャージ1%減額は人件費や社会保険の高騰で加盟店の収入が微増となり、モチベーションアップが必要なことを配慮したものである。
「同時に新しいオーナー獲得のひとつのきっかけにしたい。またパート・アルバイトの採用が困難な状況にあって、1店当たりの売上は高い目標をもって開発しないと、オーナーは隆々と経営していただけない。出店基準とスクラップ&ビルドは厳格化している。平均日販40万円以下の不振店の比率が2%まで下がったのは、現場で出店基準が遵守されているからだ。さらに客数を増やしトップラインを引き上げると同時に、IT技術による働きやすい環境づくりによって、利益率も改善したい」(井阪社長)
トップラインの引き上げでは中食、冷食、カウンター商品、セブンプレミムを中心としたデイリーなどが成長している一方、雑貨、雑誌などがダウントレンドにあることを踏まえ、店舗レイアウトを変更する。セールスカウンター、米飯・チルドケースを増やして位置を変更したテストを20店で実施したところ、日販が3~5万円上昇した。今期は既存店800店、新店1100店に新レイアウトを採用する。5年後には約1万7000店が新レイアウトとなる見通しだ。
商品面では新カテゴリーが値入率の改善に寄与している。一例で昨年1月、カフェラテマシンを北海道の店舗に先行導入したところ、ほかのエリアと比べ、コーヒーカテゴリーが2~3割上昇した。コーヒーカテゴリーの荒利益率が8P改善され、店舗全体でも0.1P改善した。引き続き、新規カテゴリーの導入を進める。
日刊流通ジャーナル2017年4月10日号より抜粋