イオングループのSM各社は、小型店フォーマットの構築に取り組んでいる。現状はグループ統一のフォーマットはなく、各社が標準化を目指しMDやサービス機能などを実験している。14年度、マックスバリュ西日本、マックスバリュ東海、マックスバリュ中部、マルナカが新タイプの小型店を開設した。15年度はマックスバリュ東北が小型SMにチャレンジする。人口減少や高齢化が進む中での成長戦略のひとつと位置づけている。
グループとして小型SMは、増加するシニア層の取り込みを目指した新しいフォーマットと位置づけている。売場面積300坪以下で、惣菜を核に即食ゾーンを充実するほか、サービスを拡充し利便性の向上を追求する。
マックスバリュ西日本は24店を展開しドミナントを形成している兵庫県姫路市で、売場面積1000㎡以下の活性化に取り組んでいる。5月の青山店(兵庫県姫路市)を皮切りに、市内の10店を大規模改装し、惣菜の品揃えの拡充やベーカリーコーナーの導入を中心に簡便・即食型商品を強化した。
ベーカリーは近隣の母店から1日2回商品を供給する。あわせて姫路市内に鮮魚のPC「白浜センター」を稼働させた。損益分岐点の引き下げを目指し、改装した10店は鮮魚を100%アウトパック供給としている。開店前と午後4時前の1日2便体制で供給する。
青山店は改装後、2月までの売上は前年比18.5%増(客数15.6%増、客単価は2.5%増)で、店段階の営業利益は355万4000円改善した。仮需の反動があった3月度の売上は38.2%増と好調を持続している。
加栗社長は、「ドミナントを形成した小型店が多いエリアでのPCの運用に手応えを感じている。PCにバイヤーを3名配置し、店舗からの発注ではなくセンター主導で商品を送り込んでいる。開店時に品揃えが充実してチャンスロスが減少したことで、PCから商品供給する10店の鮮魚の売上高は平均10.5%増となった。広島や山口などドミナントを構築しているエリアへの水平展開を考えている」と語った。
マックスバリュ東海は14年11月、次世代モデルの小型フォーマットと位置づけるマックスバリュエクスプレス清水追分店(静岡市清水区)を開設した。売場面積206坪で、9000アイテムを取り扱う。
カウンターレジを採用して売場面積を確保するとともに、グローサリーはハイゴンドラを使用する。公共料金収納代行サービスを導入し、コーヒーサーバーとともにイートインスペースを設置した。惣菜をインストア加工し、生鮮3品はPCから供給する。営業時間は午前6時~午後11時30分とし、日商150万円(年商5億5000万円)、1日あたり客数1350人、買上点数7.5点と計画を上回って推移している。
神尾社長は「15年度に開設する静岡市内の店舗は24時間営業で、インストアベーカリーを導入する。また伊豆のルーラル立地に売場面積150坪、取扱品目数6000アイテムで出店を計画している。立地やカテゴリーなどさまざまな実験をしながらフォーマットを構築していく」と話した。
マックスバリュ中部は、名古屋市内で小型SMの展開を目指す。14年度、小型フォーマットのモデル店としてマックスバリュ エクスプレス土原店(天白区)を開設した。売場面積284坪、イートインコーナーを設置したほか、直営の調剤薬局を併設した。
鈴木社長は「300坪以下で多店化を目指してスタートした。ただ、建築コストや家賃が高騰している。今期は2店で、生鮮のアウトパックの拡大やカテゴリーを改編しながら収益性アップに取り組む」という。
マックスバリュ東北は15年度、小型フォーマットの開発に取り組む。売場面積300坪以下で、7000アイテムの品揃えを想定している。生鮮のアウトパック比率を高めながら、インストア加工の惣菜や加工食品の幅広い品揃えでSMとしての魅力を打ち出す。コンビニを意識したサービス機能を取り入れる。
日刊流通ジャーナル2015年4月22日号より抜粋