
マミーマート(岩崎裕文社長)は健康をテーマにした店づくりに取り組んでいる。昨年12月にオープンした旗艦店の位置づけのビバモールさいたま新都心店(さいたま市浦和区)は、管理栄養士を配置したコーナーを設け、メニューの実演提案のほか、さまざまな健康相談を受け付ける。健康は身体的なものばかりでなく、精神、社会的なものまで幅が広い。生活の楽しさの要素も付加し、エンジョイ・ライフを追求する。
ライフスタイル提案型売場のオンリーワンを目指す
岩崎社長はSMのあり方として、日本はディスカウント型とライフスタイル提案型の両方が存在するマーケットであることを指摘している。
「やはりベーシックなものをどうやって安く売るかというマーケットと、その反対の提案型のマーケットというものが必ずあって、両方とも存在している。そうしたことを踏まえ、ビバモールさいたま新都心店(600坪)で新しい店づくりにチャレンジし、これから形をつくっていく。基本的にはオンリーワンを目指すという方向で動いている。テーマは健康で、幅が広い。機能性表示の問題もあり、野菜の表示を実験的にやり始めようとしている」
野菜の栄養素などを数値化することを検討しているが、同じ品目でも抗酸値など、土壌や収穫時期によって異なる。一定期間測定して、その平均値を表示する実験を始める考えだ。

従業員の主体性がカギを握る
テーマとする健康は身体、精神、社会との関わりなど、多岐におよぶ。
「素材を自分で調理して、おいしく食べて健康になるという、生活の中の楽しみの部分が多くの意味で健康との結びつきが強いので、エンジョイ・ライフという視点から店づくりに取り組もうとしている。将来的には、商品がいいとか、売場がきれいということよりも、従業員が健康に関する知識をもって、お客さまの相談に応えられることが大切だと考えている。
さいたま新都心店には管理栄養士がいて、ヘルシーコンシェルジュコーナーで、お客さまの健康相談を受け付ける体制をとっている。本来であれば、青果、鮮魚にも健康に留意しながら、素材の食べ方、料理方法を含めて、相談にのれる従業員がいることが望ましい。それが地域との接点になる。これから、高齢化社会になると、そうした機能が求められる。お客さまと固有名詞同士で話しができるような関係になれることが大切で、そうしなければ大手と戦っていけない。最終的には、店、商品、人も含めて地域に密着していくのが理想である」(岩崎社長)
エンジョイ・ライフを標榜し、健康を提案していくうえで、従業員の主体性がカギを握るという。マニュアルに則って作業するのではなく、ポイントとなる売場で従業員が重点商品を自らの意思をもって、売り込んでいくことが必要としている。
「そのためには商品のことを知らなければならない。自分のもっていた知識も含めて、こうすれば売れる、こういうものといっしょにしたら売れるということを実践することで、主体性が生まれる。全品とはいわないが、自分たちでポイント、ポイントで売り込むための売場をつくっていく。しかもパート同士で互いに意見を出しながら決めることによって、全体のレベル、モラールが上がっていくことにつながると思う。そのために、商品部、店舗それぞれが主体性をもってやっていくことが大切だ」(同)
日刊流通ジャーナル2015年5月1日号より抜粋