
サミット(田尻一社長)は15年3月に開設した新小岩駅北口店(東京都葛飾区、286坪)、東中野店(中野区、675坪)が予算比2ケタ増で好調に推移している。いずれも駅前立地で惣菜および生鮮部門で加工した新MDによる商品群の支持が高い。新MDはオペレーションが軌道に乗り、大半の店舗で収益に寄与している状況だ。特に、素材の加工をはじめ、手間・ひまをかけた商品の動きがいい。一方、人材の確保が困難で、一部の店舗で時間帯別に外部加工品の導入を検討している。

東中野店は旧店を隣接の土地・建物を含めてリビルドし、再オープンまで3年を要した。立ち上がりは予算比3割増で絶好調に推移している。その前の3月18日にオープンした新小岩駅北口店も予算を2割上回っているという。
「新小岩駅北口店は駅前立地で、客単価は低いが、特に夜間の客数が多い。1日平均客数は4000人を超えている。通勤帰りの買物が集中しており、惣菜のオペレーションが追いつかない。焼鳥は1日1000本、売れる。惣菜の売上構成比は15%で、生鮮の素材を加工した商品を含めると20%以上になる。荒利の高い商品が売れ、オペレーションが回らなくなり、売場が荒れることを懸念している。東中野店も駅前立地で、1日平均客数は7000人を超え、通勤帰りの単身者が惣菜、即食型商品を購入されるパターンが多い。675坪の規模で生鮮、グローサリーもそれなりに売れるので、惣菜の構成比は10%強だ。鮮魚の焼魚・煮魚、精肉のグリルキッチン、青果の手作りサラダを加えると、17~18%になる」(田尻社長)
生鮮の素材を加工する新MDはプロジェクトチームをつくって、常に新しい商品の開発に取り組んでいる。部門間で原材料を移管して、メニューをつくる動きも出てきているという。東中野店では、鮮魚部門で切った生ネタを惣菜が寿司に使用している。また精肉部門が青果の野菜を使用して、グリルキッチンで商品化するなど、部門横断型の動きが出てきている。さらに生鮮売場の中にグローサリーを導入し、東中野店では意図的に買上点数をアップする店づくりに取り組んだ。
「また用途別の売場を相当、意識している。例えば、乾物は1カ所にまとめていたが、和風調味料のところに和風系の乾物を意識的に置くなど、分散化させた。利益率の高い商材であり、調理での便利性が認識されつつあるという感覚があったので、調理との関連でくくり方を変えた。スープもフリーズドライ、缶、液体と商品の形態が多様化しており、くくり方を見直した」(同)
インストアベーカリーで焼き上げるピザは1日平均80枚売れ、作業が追いつかないという。加えて、スクラッチの食パン、フランスパンなど手間、ひまのかかるものが売れる傾向にあるという。
人材不足に対応しオペレーションの適正化へ
田尻社長は、新MDのオペレーションと人員体制について次のように語っている。
「新MDはようやく、オペレーションがこなれてきた。利益と人時数の関係でみているが、人手をかけても利益が出るコーナーになっている。店によって差があるが、新MD導入の85%の店舗は利益が出ている。残りの15%はオペレーション、立地などに問題があるようだ。概ね、生鮮各部門で売上構成比が10%になると、利益が出る構造になっている。あまり構成比が高くなると、素材が売れなくなり、バランスも考えなければならない。そういう意味で、全体のオペレーションが付加価値のあるものにシフトしながら、変わっていくのは間違いないと思う。いま人材の確保が最大の課題になっている。
東中野店では全然人が集まらず、一定数、派遣社員を採用している。当社が出店しているエリアは非常に人が集まりにくく、省力化を考えざるを得ない状況にある。インストア加工を生命線とすることに変わりはないが、アウトパックの商品が増えているのは事実だ。その分、手間のかかる作業に集中するようにしなければならない」(同)
日刊流通ジャーナル2015年5月11日号より抜粋