旗艦店に先行導入後、既存店に広げる仕組みを検討

ヤオコー(川野澄人社長)は、新3カ年計画の最終年度である18年3月期に、売上高3400億円(15年3月期比10.6%増)、経常利益145億円(同8.2%増)を目標に掲げる。人材育成と生産性向上の両輪でミールソリューションの充実を進め、出店エリアは従来通り都心から20〜40km離れたエリアでドミナントを深耕する。川野社長は、「提案力や販売力だけでなく、商品の美味しさで選ばれなければならない。商品力の強化が最優先の課題だ」としている。
18年3月時点の店舗数は、14年度に比べ24店純増の166店を予定している。前期までの3カ年における純増数も24店で、出店ペースが従来より上がるわけではない。
「今は立地の確保が難しく、建築費も高い。さらに人の採用も難しい。結果的に出店数は抑えめになった。環境が変われば、増える余地はある」(川野社長)
また、3年間に想定される環境変化のうち、経営へのインパクトが大きい要素として社会保険の適用拡大による人件費の増加と、消費税の再増税を挙げる。
こうした環境下で、新3カ年計画における重点施策は従来路線と大きくは変わらない。商品力の強化を最優先課題とし、人材育成の仕組みづくりと生産性の向上につながる機械化・IT化によって個店経営のレベルアップを追求していく。
「前期までの3カ年では、旗艦店として東大和店(東京都東大和市)を開設した。そこに向けて開発した商品のうち、お客さまに支持されたいくつかは、かたちを変えて既存店に広げることができた。今年4月に開設した「ららぽーと富士見店」(埼玉県富士見市)にもいえることだが、まずはインストア加工で差別化された商品をつくるので、売上が高い店でしか維持できないMDも多い。旗艦店で商品の質や価格設定などが支持されるか確認したうえで、他の店に広げるにはどうすればいいかを考える。アウトソーシングや、14年に稼働したデリカセンターの活用によって実現を目指す」(同社長)
店舗開発では600坪型の次世代モデルに取り組むほか、小型店づくりにも着手する。また、今年2月に三芳富士久保店(埼玉県入間郡)で開始したネットスーパーは、同店単独での黒字化を達成した後、他店に拡大する方針だ。
日刊流通ジャーナル2015年5月13日号より抜粋