値ごろ感を追求する施策で市場シェア向上
カルビーの14年度業績は、国内では主力ブランドが売上を伸ばし、海外は北米や韓国が好調で、2ケタの増収増益となった。
売上高は11.1%増の2221億5000万円、営業利益は22.6%増の241億8300万円、経常利益は23.3%増の256億1500万円、当期純利益は16.8%増の141億1400万円だった。
5年前の09年度と比較すると、売上高は約1.5倍、営業利益は2.5倍に高まっている。この間、国内事業はシェア向上を成長戦略の指針とし、自社ブランドの育成だけでなく流通各社のPB製造も積極的に行い、販売機会を拡大してきた。14年度のシェアはスナック全体で約54%、ポテトチップスに限れば72%と推計している。売上の拡大に継続的なコスト削減の取り組みが伴い、成長スピードを加速させてきた。

松本晃会長兼CEOは、シェア向上をさらに進めるうえで、円安などで原材料費が上昇するなかでも、価格改定は行わないとしている。
「国内の菓子市場は、少子化とデフレによって今後も成長が見込めない。そのなかでシェアを高めるため、お客さまがより手軽に購入できるようコスト・リダクションを続けてきた。今の原材料コストの上昇も何とか吸収し、現状の価格設定を維持することが会社のメリットにつながる」(松本会長)
原材料コストの上昇は、工場の稼働率をさらに高めることや、付加価値型・高荒利商品の強化、増量キャンペーンなど販促企画の見直しで吸収していく。物流体制の再構築にも着手し、長期的な視点で合理化を進める。
また今秋、今まで手がけていなかった成型ポテトチップス市場に参入し、中期計画でカテゴリー内のシェアトップを目指す。下期に稼働する製造設備に35億円を投資し、初年度の売上は22億円を目標とする。

伊藤秀二社長兼COOは、「成型ポテトチップス市場は、長らく200億円くらいで安定している。我々の参入で活性化を図る」としている。
新たなカテゴリーに進出してシェアを獲得するだけでなく、地域対応をきめ細かく進めることでも売上を伸ばす余地があるという。
「14年度は首都圏以外の流通各社にとって厳しい環境だったが、その中で当社の商品は売れ筋として取り扱いが増える傾向にあった。全国チェーンのコンビニを含め、一律ではなく地域別に提案する取り組みが成果につながっている。地域対応を進めるうえで、各地に工場があることは当社の強みだ。地域によってはシェア85%のところもあり、全国シェアはまだ伸ばせる」(伊藤社長)
週刊流通ジャーナル2015年5月18日号より抜粋