店舗売上の80%を占める足元商圏を深掘り
ライフコーポレーション(岩崎高治社長)は、今期スタートした新3カ年計画において、全店で商圏1km内のシェア向上を追求する。同社の調査によると、各店の半径1km内に住む顧客の売上構成比は、平均で約80%にのぼる。ただ、同エリア内におけるライフの食品販売総額のシェアは10%にとどまるという。岩崎社長は、「この支出割合を1P高めることができれば、既存店の売上高は理論値として10%アップする」としている。

支出割合が10%にとどまる理由を探るために行った競合チェーンとの比較調査では、顧客が最も重視した通常売価の安さに関する評価において、首都圏・近畿圏とも調査30社の平均を下回った。
「とくに近畿圏での評価が低かった。従来はポイント倍増セールで補おうとしていたが、それがいっそう、お客さまの支持を失うことにつながっていたと分かった。近畿圏では定番売価を見直し、今期からはポイント政策も変えている」(岩崎社長)
首都圏においても、チラシによるハイ&ローからEDLP強化へとシフトしていく。現在、週2回のチラシは週1回に集約する。地域ごとの実勢価格に合わせて下限商品を拡充すると同時に、従来通りアッパーゾーンの充実も進めていく。また商圏内の全客層を取り込むうえで、30~40代を中心とするニューファミリー層の獲得を戦略上の課題とする。
売場300坪でも500坪の魅力を打ち出す

店舗フォーマットは、立地に応じてワンフロア・300坪型と2フロア・600坪型、セントラルスクエアのような大型店を使い分けていく。部門ごとに戦略上の位置づけを明確にし、農産は売上を牽引する部門、水産はシニアをはじめ健康志向に対応する部門、畜産は前述のようにニューファミリー対応、惣菜・ベーカリーは需要の高まりに対応するためPCによるバックアップを整備しながら強化していく部門としている。
首都圏営業本部長の幸英樹常務取締役は、「300坪の売場でも、500坪クラスの魅力を発揮していく。売場と作業場は一体化する方向性で、お客さまの目の前で商品をつくることにより躍動感を生み出す。大型店は、当社が目指す『お買物を、便利から楽しいへ』を実現するためにさまざまな仕掛けが必要だ。首都圏で始めた対面形式の『チーズハウス』はそのひとつであり、単独で利益にならなくても、店舗の格を上げるために必要なロスリーダーと位置づけている。酒類でワインをもっと充実させるうえで、チーズや生ハムとの関連提案は欠かせない」としている。
ノンフードのうち、生活関連はドラッグストアへの対抗で購入頻度の高い商品を中心に価格を強化する。衣料品は改装を機に売場スペースを縮小する傾向にあるものの、1km内の顧客対応において欠かせない部門としている。
日刊流通ジャーナル2015年5月20日号より抜粋