小林製薬(小林章浩社長)は、成長余地が大きいスキンケア、海外、漢方薬、通信販売の4事業の育成を図っている。中でもスキンケア事業は、シミ対策やエイジング、保湿など、多様なニーズに応える主要4ブランドに加え、日用品やOTCで得意とする市場創造型の新ブランドの立ち上げに取り組む。同事業は3年後に現在の2倍以上となる売上高100億円の達成を目指す。

2015年3月期連結決算は、売上高が前期比0.8%増の1283億4000万円、営業利益が1.1%減の179億1700万円、経常利益が0.4%増の188億4300万円、当期利益が1.2%増の124億4800万円だった。
消費増税の駆け込み需要の反動が、売上高を47億円押し下げたが、新商品の寄与(28億円増)や海外(45億円増)、販売を強化しているスキンケア(6億円増)、インバウンド効果(8億円増)などで微増とした。営業利益は、国際事業やスキンケア事業への投資拡大、円安による仕入コストの増加などで減少したが、前期の為替差損の反動で経常増益、投資有価証券売却益の計上等で最終増益となった。
主力の家庭用製造販売事業のうち、国内(子会社の桐灰化学を含む)は売上高1013億4800万円(0.9%増)、営業利益165億3900万円(2.7%減)だった。「熱さまシート」や「ケシミン」「オードムーゲ」などのスキンケア、消臭芳香剤などが好調だった。駆け込み需要の影響が大きかったハミガキ剤「生葉」や、前年にテレビで取り上げられ一時的に伸長した「杜仲茶」は伸び悩んだ。
このほかインバウンド需要で、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」、傷あと治療薬「アットノン」、液体絆創膏「サカムケア」などが好調だった。
国際事業は売上高153億8500万円(23.0%増)、経常利益4億9100万円(30.6%増)だった。売上高の地域別比率は、アメリカ45%、東南アジア33%、中国10%などとなっている。また商品別ではカイロ55%、「熱さまシート」21%、「アンメルツ」10%だった。
「海外には使い捨てカイロがないため、寒波が発生するアメリカなどで好調に推移している。現地にも類似品はあるが、温度の維持など品質の高さで優位に立っている。また『アンメルツ』は、競合品が広い効能を訴求するのに対し、肩こり専用を打ち出した取り組みが奏功した」(小林社長)。
通信販売事業は、家庭用製造販売事業以上に駆け込み需要の反動が大きく、売上高89億7700万円(16.5%減)だった。特にサプリメント(12.5%減)とスキンケア(18.1%減)の影響が大きい。経常利益は広告費の抑制で4億9100万円(30.6%増)だった。
日刊ドラッグストア 2015年5月19日号より抜粋