14年度の改装は52店、15年度は60店を計画
いなげや(成瀬直人社長)は、前々期から取り組んでいる「惣菜を柱に生鮮を強化した改装」が効果を上げ、既存店が好調に推移している。前々期、前期共に50店を超える改装を実施したが、今期も60店の改装を計画している。「基本的に2年半でほぼ一巡する改装を考えており、来期以降も年間60店規模の改装を継続する」(成瀬社長)としている。
同社は昨年4月1日付で、惣菜の製造販売子会社の「クックサン」を本体に吸収合併し、一体となった惣菜強化に注力している。またReady to heat、Ready to eatなど半調理品の品揃えを強化している。さらに従来は各部門で取り組んでいたレンジアップ商品を1ヵ所に集めてコーナー展開するなど、調理済、半調理食品のカテゴリーを強化している。
こうした惣菜を柱に惣菜に近い生鮮を強化した既存店の改装を、前々期は53店、前期は52店で実施した。この結果、既存店は3期前が4.6%減と苦戦したが、前々期は0.1%減とほぼ前年度並みとし、前期は3.4%増とプラス成長に乗せた。内訳は客数0.6%増、客単価2.8%増とバランスよく伸びている。
「前期のSM新店5店は、『横浜南本宿店』(横浜市旭区、売場面積488坪)を除くと、いずれも300坪未満の小型店で、うち4店は期末の3月に集中した。だが売上高は100億円強の増加となっており、売上増の大部分は既存店で達成している。前期に改装した店は7.9%増、改装しなかった店も商品構成を変えたことで2.5%増と伸びている」(同社長)という。
今期の設備投資、倍増の113億円
設備投資はキャッシュフローベースで、3期前が20億円ベースだったが、前々期は71億2900万円、前期は66億5800万円と一挙に増やし、今期はさらに倍増の113億円を計画している。
なお今期はSM6店を新設、60店の改装を実施し、武蔵村山プロセスセンターを来期初めに本格稼働させる。
「改装を機会に、これまであまり手を着けていなかった従業員の休憩室も整備している。また大型店については、地域コミュニティとの繋がりを重視する意味で店長室に応接セットを導入した。食の豊かさを追求するためには、働きやすい環境を整備することも重要だ」(同社長)としている。
既存店好調で増収営業増益
いなげやの2015年3月期決算は、既存店が好調に推移したことや荒利益率が向上したことなどで増収営業増益となった。
営業収益は4.3%増の2403億0400万円、営業利益は21.6%増の32億5400万円、経常利益は17.8%増の36億2200万円、純利益は7.2%減の10億9200万円となった。
荒利益率はSMが0.5P増の28.8%、Drug.Sが0.5P増の25.6%、全体で0.4P増の28.3%となった。経費率は0.2P増の29.4%とやや悪化している。この結果、営業利益率は0.2P増の1.4%となっている。
日刊流通ジャーナル2015年5月22日号より抜粋