
身近なカフェ&ちょい飲みスポットを提供
ミニストップ(宮下直行社長)が2店舗で検証中の小型店「シスカ」は、物販機能にカフェのようなイートインスペースを併設することで、コンビニの新しい利用スタイルを創出している。昼間はカウンターコーヒーを軸に中食・デザートなどでカフェ需要を取り込み、夕方以降は購入した酒類・おつまみをイートインで食べて帰る「ちょい飲み」シーンをつくり出す。冷えたグラスの貸し出しや、おつまみを器に盛り付けるなど、イートインの食体験を高めるサービスも提供する。

シスカは、店員が手渡しで提供するコーヒーをはじめ、スープやスムージーなど飲料系のカウンター商品が充実している。2号店では午後3時から生ビールも販売する。コーヒーはエスプレッソ式とドリップ式で2台のマシンを設置し、コーヒーSサイズが150円、カフェラテは200円となっている。生ビールは、業態のイメージに合ったブランドとしてキリンの「ハートランドビール」を選択した。
中食・デザートは、コーヒーとの関連メニューを強化する。サラダやおにぎり・弁当、店内加工サンドイッチ、蒸しドーナツなど、多くがシスカ専用に開発したものだ。サラダはマヨネーズを控えめにして素材の味・食感を活かすなど、全体的に女性をターゲットにした商品設計になっている。
タバコ以外に非食品の取り扱いはほとんどなく、サービスもコンビニで一般的なコピー機や収納代行といった機能は付加しなかった。食品は通常のコンビニと同等のカテゴリーをほぼカバーしているものの、商品構成は異なる。。総アイテム数は1号店が1200品、2号店は1000品で、輸入食品の専門店や高質スーパーをベンチマークした嗜好性の高い品揃えとなっている。

購入商品を食べて帰る利便性
1号店はオフィス街の真ん中に位置し、OLやサラリーマンを中心客層とする。2号店の商圏にはオフィスのほか住宅も多く、シニアや子供連れの主婦など客層は広がる。両店とも昼間はコーヒーと中食のカフェ需要、夕方以降は「ちょい飲み」需要と利用スタイルが変化する。女性客の構成比が高いことも特徴で、とりわけ住宅地でもある2号店は、昼間の利用客の大半が女性という。
店内は売場・イートインスペースともスポット照明で演出し、座席・テーブルはカフェショップのテイストでまとめている。複数で来店した顧客がテーブルを囲んで座れるなど、一般的なコンビニのイートインに比べ食事をしやすい環境になっている。また、壁に面した1人席には電源コンセントも付いており、休息の時間に携帯やPC端末の充電もできる。
店内で購入した商品は全てイートイン席で飲食可能だ。単に食べられるだけでなく、会計時に希望すればカップ容器に入ったサラダは器に移し替え、酒類には冷えたグラスを添え、缶詰やソーセージは温めて提供してくれる。イートイン席の活用を促進するサービスで、食べて帰る利用スタイルをつくり出している。カフェや居酒屋より気軽に利用でき、食品を選ぶ選択肢は外食より自由度が高い。

日刊流通ジャーナル2015年5月25日号より抜粋