
雪印メグミルクの15年3月期連結業績は、原材料価格の高騰や物流費などのコストアップを価格改定やプロダクトミックスの改善、販促費の合理化などでカバーできず増収営業減益となった。
売上高は0.9%増の5498億1600万円、営業利益は16.5%減の93億8100万円、経常利益は7.0%増の104億4400万円、当期純利益は53.0%増の39億3100万円だった。
セグメント別で、乳製品は売上高2130億円(6.3%増)、営業利益93億円(17.8%減)だった。バターの生産量が減少したものの、代替需要で油脂が好調だった。中でも新商品の「ネオソフト コクのあるバター風味」が牽引した。チーズは家庭用を中心に伸長し、主力の「6Pチーズ」や「雪印 北海道100カマンベールチーズ」などが好調だった。家庭用.業務用とも下期に価格改定や容量変更したものの、乳価アップを吸収できなかった。
飲料.デザート類は売上高2554億円(2.9%減)、営業損失17億円(前の期は損失26億円)だった。ヨーグルトは恵ブランドやガセリ菌SP株の訴求などで伸長したほか、小型ボトルタイプのドリンクヨーグルトが好調だった。一方、飲料は夏の天候不順の影響で果汁.野菜、清涼飲料とも苦戦した。
重点商品の販促強化
4月1日付で就任した西尾啓治社長は、「当期の海老名工場(神奈川県海老名市)でのライン増設と阿見工場(茨城県稲敷市)の新設で大型設備投資を完了した。今期以降、合理化メリットを最大化するとともに、ミルクの価値を高める商品開発に力を入れ、事業構造改革を推進する。特に飲料.デザート類は機能性ヨーグルトなど高付加価値型商品の売上構成比をアップし、プロダクトミックスを改善しなければならない」と語った。
重点商品の販促強化
今期は新設設備の最大活用による事業構造改革と、成長分野の事業拡大を重点課題に掲げる。事業構造改革は低収益商品.小ロット商品の見直しや、委託先を含めた生産ラインの最適化により、乳資源を戦略的に配分し高収益商品の生産を拡大する。海老名工場と阿見工場の本格稼働により、数量を拡大し生産性向上につなげる。
成長分野の拡大は、ヨーグルトでガセリ菌SP株の訴求を継続し売上拡大を図るほか、「雪印 北海道100さけるチーズ」や小型ボトルタイプのドリンクヨーグルトなど重点商品の販促を強化する。また牛乳由来の機能性素材MBPを活用した商品開発を強化する。
「14年度、海老名工場はプレーンヨーグルトとチルド飲料で17億円の合理化効果を創出した。14年11月に稼働した阿見工場はプロセスチーズとマーガリンで今期、13億円の効果を見込む。これと4月以降の価格改定.容量変更でコストアップを吸収し、営業増益基調に回復させる」(西尾社長)
週刊流通ジャーナル 2015年5月18日号より抜粋