
ニチレイ(大谷邦夫社長)の15年3月期連結決算は、家庭用・業務用冷凍食品のほか、海外も好調だった加工食品事業が牽引し増収増益となった。売上高は6.7%増の5452億6600万円、営業利益は11.6%増の176億1500万円、経常利益は18.5%増の171億1100万円、当期純利益は9.0%増の97億0100万円である。前の期に特別利益で投資有価証券売却益21億円余りを計上した反動で最終段階は1ケタ増益にとどまった。
セグメント別で、加工食品事業は売上高2192億5000万円(7.3%増)、営業利益55億8600万円(64.4%増)だった。円安や原材料価格の上昇を価格改定やプロダクトミックスの改善などで吸収した。また、14年2月に稼働した船橋第二工場(千葉県船橋市)を起点とした全社的な生産ラインの再編.効率化を進めたことが奏功した。
家庭用調理冷凍食品は売上高597億3100万円(4.6%増)だった。「本格炒め炒飯」や「本格焼おにぎり」などの米飯類のほか、船橋第二工場に生産を移管した「お弁当にGood!ミニハンバーグ」などが好調だった。業務用調理冷凍食品は売上高965億3800万円(6.0%増)だった。コロッケや春巻、チキン加工品など主力カテゴリーの商品開発を強化し、特に中食向けの取り扱いが拡大した。農産加工品は売上高196億6800万円(2.1%増)で、家庭用で枝豆やブロッコリー、業務用でホウレンソウなどの自然解凍商品が伸長した。
今期は266億5100億円(加工食品98億9100万円、低温物流135億0600万円など)の設備投資を計画する。加工食品事業はGFPTニチレイで第4ラインを設置し、欧州向けチキン加工品のさらなる拡大につなげる。低温物流事業は船橋物流センターをリプレイスする。
15年度、加工食品事業は家庭用で米飯類、業務用でチキン加工品やコロッケなどの主力商品を中心に、好調に推移するSM.GMSの惣菜チャネルのほか、コンビニルートを強化する。円安による原材料価格アップは継続するものの、生産体制の再整備による効果を発揮し、コスト競争力を高める。売上高2040億円(7.0%減)、営業利益65億円(16.4%増)を計画する。なお販促費を、従来の販管費に計上する方法から、売上高からの控除に変更するため減収となる。従来と同様の計上方法で比較すると5.1%増となる。
低温物流事業は東京.大阪圏で増強した保管能力を活用し、需要を着実に取り込み、業務改革や運送の効率化などコストマネジメントを徹底する。
週刊流通ジャーナル 2015年5月18日号より抜粋