再度、若い世代にフォーカス

大塚食品は飲料事業でミネラルウォーターが苦戦する一方、ビタミン炭酸飲料のマッチが引き続き、堅調に推移している。ミネラルウォーターの2014年暦年の実績は、前年比14%減だった。フレーバー付きのニアウォーターの参入で、プレーンのウォーターが低迷し、中でも輸入品が苦戦を強いられた。主力のクリスタルガイザーは2011年の東日本大震災を契機に、軟水であることと同時に、採水地のマウント・シャストの自然環境を訴求してきた。一昨年の2013年は前年を上回ったが、14年はニアウォーターの参入のほか、消費税増税にともなう自販機の低迷や夏場の天候不順が響いた。
コンビニのドリンク類が定価販売でなくなり、自販機自体が逆風の環境にある。また、昨年はクリスタルガイザーが日本発売20周年で、ニューボトルによる新しい700mlサイズを発売したが、時期がずれ込み盛夏の棚割に入らなかったことも響いた。ニューボトルはクリアラベルで鮮度感を訴求し、エコキャップを採用して40%減量した。700mlを皮切りに、310ml、500ml、1ℓと1ガロンを除く製品をニューボトルに切り替えた。
ミネラルウォーターはコモディティ化している。輸入ミネラルウォーターはパーソナルタイプ、ファッション性ですみ分けを図ってきたが、国産品もこの分野に参入し、同質化が進んだ。そうした中、グループのベビー食品メーカーのビーンスターク・スノーと連携した調乳指導やマイファーストウォータープロジェクトによる幼稚園へのサンプリングを通し軟水であることと同時に、採水地の自然環境の訴求で、安心・安全な水であることを浸透させてきた。これは、東日本大震災を契機に継続している。
加えて、今年度は若い世代をターゲットにしたコミュニケーションで改めて、カジュアル、アクティブ、ファッショナブルなイメージをテレビCM、交通広告、ホームページを通して伝達する。
また昨年、導入が遅れた700mlサイズを夏の需要期に、止渇、健康・美容、テーブルドリンクとして、幅広い提案を行う。今年に入っての1~3月の動向は、消費税増税前の仮需要の反動と米国の湾岸ストで供給ロスが発生したこともあり、2ケタの前年割れとなっている状況だ。
マッチ 次世代ユーザーの育成へ

一方、ビタミン炭酸飲料のマッチは好調に推移している。14年暦年の実績は夏場の天候不順で、2ケタ伸長が途切れ、前年比9%増となった。今年に入って3月は昨年の仮需要の反動で苦戦したが、概ね順調に推移している。新しいCMを放映しているほか、シンガーソングライターの西野カナさんとタイアップしたコンサートチケットキャンペーンを実施しており、再び2ケタ成長を目指す。高校生をターゲットとしたコミュニケーション、キャンペーンを実施しているが、家庭内需要を取り込み、次世代のユーザーを開拓するうえで3月に1.5ℓのペットボトルを発売した。
同時に昨年、女性をターゲットに発売した「マッチピンク」のフルーツ感を高め、リニューアルしている。
マッチピンクはビタミンC1000㎎含有する健康感が女性に受け入れられ、既存品とのカニバリがなく、ユーザーの拡大につながっているという。また、メインとする高校生を拡大するうえで、今年も全国100万本サンプリングを実施する。
週刊流通ジャーナル 2015年6月1日号より