経常利益率1%の回復へ 成長とコストのバランス是正
日本アクセス(田中茂治社長)は今年度、第5次中期経営計画の最終年度を迎える。物販からサービス企業への転換に向け、改革の総仕上げに邁進する。その一環で、4月から新業務・会計システム「DAISY」を稼働させた。従来の商品別から得意先別管理に移行する。物販および流通のコーディネート機能だけでは将来的に存続が困難なことを前提に、小売と一体となったチルド以外でのPB開発やリテールサポート、ソリューションなど、独自の機能づくりに取り組む。
15年3月期連結決算は、売上高は4.1%増の1兆7840億9900万円、営業利益は14.9%減の155億7200万円、経常利益は15.8%減の159億1300万円、当期純利益は23.0%減の94億3300万円である。
売上総利益率は低下に歯止めがかからず、0.26P減の6.43%となった。販管費比率は0.06P改善し5.56%となったが、売上総利益の減少を吸収できず、経常利益率は0.21P減の0.89%と1%を割り込んだ。
販管費の内訳で物流費は売上高の伸びを上回る6.5%増の2611億円となった。特にセンターフィーの負担が大きかった。売上高に占める物流費の比率はセンターフィー控除前で0.31P増の14.05%となった。
「売上高にセンター通過額を加えた総事業高は4兆円を超えた。成長はしているが、前期は全国に物流拠点をもっている強みが弱みになり、成長とコストのバランスが崩れた。売上だけの時代ではなく、コストバランスで経常利益率1%を維持するのが、卸の課題だ。今期は1%に戻し、成長とコストのバランスを是正する」(田中社長)
アソートセンターを視野に
現在の中期経営計画の骨子は、物販からサービス企業への転換である。今期は最終年度で総仕上げに向け、4月に新業務・会計システム「DAISY」を稼働させた。従来の商品から得意先を軸とした管理体制にシフトする。得意先を軸に営業組織体制を変更したが、その中でも商品カテゴリー別での戦略を実行可能とするため、各営業組織に加工食品、チルド食品、フローズン食品の「カテゴリーマネージャー」を設置した。
営業は東日本営業部門、西日本営業部門、広域営業部門の「3営業部門体制」へ移行し、広域営業部門はプロフィットセンターへの転換を目指す。
今年度は改革の総仕上げに向け、生鮮・食材流通戦略の推進、差異化戦略の推進、MD×ロジスティクス戦略の推進の3つを重点施策に掲げる。生鮮食材流通は生鮮、デリカ、外食で5250億円の規模となった。直近では、キット商材の需要が急増している。全国のカット野菜の工場と提携し、製造・供給する仕組みを構築しているが、需要の拡大に対応するため、専用のアソートセンター建設を視野に入れている。また外食では19兆円と推計される給食・個人外食が手つかずの状況で、業務用卸と連携して参入する。
差異化戦略はフローズンアワードなど、メーカー単独でできない販促イベントやチルド以外の専売品、PB、オリジナルブランドを開発するほか、リテールサポート・ソリューションの機能を提案していく。
日刊流通ジャーナル2015年6月4日号より抜粋