伊藤園は今期、収益力の強化をテーマにマーケティングの変革に取り組む。新たにブランドマネージャー制を導入し、広告・販促施策の刷新を図っているほか、オンラインシステムによる自販機マーケティングを本格化する。また、地域ごとに物流の合理化を進める。子会社のチチヤスは今冬、神奈川県に新たな生産拠点を設ける。海外では今年2月、米国DLTC社を完全子会社化し、新たにコーヒー事業に参入した。

15年4月期決算は、飲料事業の売上減が響き減収減益だった。売上高は1.6%減の4305億4100万円、営業利益は46.0%減の113億9300万円、経常利益は45.3%減の112億2900万円、当期純利益は39.7%減の72億9200万円だった。
飲料(ドリンク)は3.1%減の3194億円だった。売上構成の半分を占める日本茶・健康茶が0.1%減と前年を割ったほか、野菜飲料(11.7%減)、紅茶飲料(17.4%減)、機能性飲料(14.8%減)などが不振だった。一方、コーヒー飲料は「タリーズ」ブランドが好調で9.1%増となった。また、茶葉(リーフ)は1.3%増の310億円だった。
本庄大介社長は、今期の方針として収益改善を重視すると語った。
「V字回復を目指していくが、売上ばかりを追いかけると無理が出てくる。収益改善が伴うかたちで、持続的な成長につなげていく」
マーケティング体制を改編し、ブランドマネージャー制のもと広告・販促の刷新を進めている。「お~いお茶」のCMでは、製品づくりのために茶畑から取り組む姿勢をアピールするため、初めてアニメーションを採用した。「健康ミネラルむぎ茶」は、暑さ対策・カフェインゼロのブランド特性を訴求するため、オリジナル体操を取り入れたCMを制作した。
「これまでテレビCMの印象が弱いと言われることが多かった。伊藤園らしさは品質へのこだわりと商品そのもので守っていくとしても、CM・販促は当社らしくない新しさを必要としていた。若い社員にチャンスを与え、CMのイメージを変えていく」(本庄社長)
マーケティングの強化はカテゴリー№1商品に集中する。緑茶飲料の「お~いお茶」シリーズをはじめ、「健康ミネラルむぎ茶」、野菜100%飲料の「1日分の野菜」、ボトル缶コーヒーの「タリーズ」を重点ブランドと位置づける。リーフもティーバッグやインスタントなどの伸長カテゴリーを中心に拡販を目指す。
週刊流通ジャーナル2015年6月8日号より抜粋