8回目の「花王コラボレーションフェア2015」を開催
花王(澤田道隆社長)は、8回目となる「花王コラボレーションフェア2015」で、今年の市場環境と同社の国内外の実績、さらに来年2月に開示予定の中期計画の方向性を披露した。増税特需の影響を想定の範囲内に収め、海外売上高はアジアが2ケタ伸長で推移している。特に中国は「今年の稼ぎ頭になる」(澤田社長)と期待を表していた。また今回のコラボレーションフェアは、「皮膚」「菌」の研究成果をもとにした、新商品やリニューアル品の投入などを予告していた。

1‐5月の市場について澤田社長は、「高付加価値型商品の動きが良く、数量を金額の伸びが上まわっている。好天に恵まれた4‐5月は季節品も好調だった。衣料用洗剤は洗濯回数が増加してパイが拡大し、インバウンド需要も市場活性化を後押ししている。先頃発表された実質賃金の上昇により、さらに良い方向に向かうことを期待したい」と語った。
花王の2015年12月期の第1四半期業績は、前期の増税前特需の反動を受け減収減益だが、その評価について澤田社長は、「売上・利益とも想定の範囲内」であると強調している。第2四半期も4、5月まで計画を上回り、この傾向が続くとの予想から、通期は連続の増収増益を見込み、目標の営業利益1500億円の達成に全力を挙げる考えだ。
「前期は上期にシェアアップを実現し、下期の市場パイの拡大で取り返す構図となった。今期もここまでシェアアップが続いており、後半戦に向けてプラスの材料となっている」(澤田社長)という。
インドネシアへの投資も増強
なお第1四半期の海外売上高は、欧米・アジアとも増収で、特にアジアは38%増となっている。アジアの傾向について澤田社長は、「タイは価格競争に追随しない戦略のため売上は厳しいが、それ以外の中国、インドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、香港、台湾はいずれも2ケタ伸長である。特に中国は家庭品のベビー用オムツほか生理用品も好調で、今年の稼ぎ頭になるだろう。化粧品も構造改革の成果で売上・利益が反転増加している。インドネシアは中間所得者層の獲得を狙った投資を強化し、衣料用洗剤とベビー用オムツのシェアを高めている。ボリュームゾーンである同部門が損益分岐点を超えれば、売上・利益も一気に拡大する」という。
今期は花王グループ中期3ヵ年計画「K15」の最終年度で、目標数値の必達を前提に、次の中期計画を来年2月に開示する予定である。
「当社の戦略はサステイナブルグロース、すなわち持続的な成長を骨子としており、増収増益と増配の継続にこだわりたい。さらに売上よりも利益を重視し、付加価値型の提案を強化する。その一環で今後はケミカル分野のM&Aも積極的におこなう考えだ」(澤田社長)という。
販売施策では引き続きインバウンドの取り込みを強化するほか、7月1日からオリエンタルランドの経営する東京ディズニーリゾートに協賛する。
「単なるアトラクションのスポンサーではなく、当社のテーマである『清潔』を用いて日常と非日常をつなぎ、子供達の育成に寄与する狙いである」(同)としている。
日刊ドラッグストア 2015年6月8日号より抜粋