
サントリースピリッツは7月28日、ウイスキーハイボール缶の新商品「ジムビーム シトラスハイボール缶〈グレープフルーツ〉」を発売する。業務用では昨年来、ハイボールに柑橘系フルーツを搾って加える「シトラスハイボール」の提案を続けてきた。この飲用スタイルをRTDとして家庭用にも取り入れ、「ジムビーム」全体の成長につなげる。

ジムビームの出荷数量は、14年が前年比10.0%増の25万3000ケースだった。15年は11%増の28万ケースを計画するが、5月までの累計は49%増と上振れしている。好調の要因が、シトラスハイボールによる飲み方提案だ。
シトラスハイボールを軸に料飲店での展開を強化し、ジムビームの取扱店は14年の4000店から5月末時点で2万店に広がった。量販店では3月、サントリー食品インターナショナルの炭酸飲料「レモンジーナ」とのコラボによるシトラスハイボール提案を全国1万4000店で実施した。
ウイスキーブランド部の森本昌紀部長は、「ブランドの取り扱いを始めて3年になるが、最初の頃は量販店での取り組みが中心だった。トライアルの獲得をこれまで以上に進めるには、ボトル1本を売る前に、まず1杯を飲んでいただくことが重要と考えるようになった。昨年の途中から業務用の比重を高めてきたことが、今期の好調につながっている」という。
ハイボール缶の発売は、業務用で進めてきた1杯へのトライアルを、家庭用にも広げるための取り組みだ。
アルコール分は6%で、グレープフルーツ果汁は8%使用する。飲食店で飲む品質をRTDで再現するため、果汁だけでなく3種類のグレープフルーツ原料酒を開発して香味をつくり上げた。
商品開発研究部長の村上悦郎執行役員は、「ビームサントリーを設立し、初めて日米共同の開発チームで取り組んだ。この商品で今後、世界展開を視野に入れている。ウイスキー感とフルーツの果実感をどういったバランスで仕上げるかについて、日本と米国では感覚が異なり議論を重ねる必要があった。まずは日本で発売することもあり、日本市場に合わせた甘さやバーボン感に仕上げた」という。
週刊流通ジャーナル2015年6月15日号より抜粋