フマキラーの2015年3月期連結決算は、売上高が前期比16.9%増の333億0800万円、営業利益が120.9%増の14億4700万円、経常利益が155.1%増の15億6200万円、当期利益が229.9%増の8億5200万円だった。2月に上方修正した計画を上回り着地し、売上高.利益とも過去最高を更新した。
売上総利益率は1.9P増の32.5%だった。生産の効率化やコストダウン、返品の減少などで、原材料費の上昇をカバーした。単体の返品率は、殺虫剤で2.6P減の13.7%、前者では2.6P減の10.6%となっている。
販管費比率は、広告宣伝の強化で0.2P増の28.2%だった。この結果、営業利益率は2.0P増の4.3%、経常利益率は2.6P増の4.7%に改善した。
国内の売上高は、主力の殺虫剤の好調に加え、園芸用品が前年を上回り、6.7%増の181億2000万円だった。海外は2013年に取得した東南アジアの子会社や中南米の好調に加え円安の効果で、31.9%増の151億8700万円だった。海外の売上比率は5.2P増の45.6%となった。
「カダン」も不快害虫対策伸長
部門別に、殺虫剤の売上高は22.0%増の256億4400万円だった。初夏は天候不順の影響で伸び悩んだが、マダニによる重症熱性血小板減少症候群が全国で発生したほか、秋に国内で69年ぶりとなるデング熱患者が出たことで、シーズン終盤の在庫消化が進んだ。カテゴリー別の売上高の増減は、「スキンベープ」などの肌用虫よけ92%増、電池式虫よけ36%増、ワンプッシュ式20%増だった。設置型虫よけは、消費者庁の措置命令の影響で27%減だった。
家庭用品の売上高は、主力のアルコール除菌関連が価格競争激化の影響を受け、3.2%減の20億9300万円だった。
園芸用品の売上高は、8.8%増の20億6800万円だった。天候不順で園芸市場が低迷したが、秋のデング熱発生の影響で「カダン ヤブ蚊バリア」などの不快害虫対策品が伸長した。

効き目前面に他社と差別化
今期は効き目を前面に出し、他社と差別化を図るほか、前期比引き続き返品率の低減と在庫の圧縮に努める。同社で史上最強の「効きめプレミアム」シリーズ(エアゾール、虫よけ線香、電池式携帯用虫よけ)を投入し、虫を介した感染症の予防意識が高まる中で、「命を守る」をテーマにした啓蒙活動を強化する。中長期的には、価格競争に左右されない高付加価値品の開発に重点を置くとともに、殺虫剤市場の各カテゴリーでシェア1位ないし2位を狙う。また、除菌.衛生予防や花粉アレルギーといった殺虫剤以外の分野でも、安全.安心.天然志向に対応した商品開発を目指す。
エステーやNSファーファ・ジャパンとの3社連合は、営業や販促サポートの共同取り組みや開発、物流のほか、フマキラーが得意とする海外販売網の活用や、拠点があるインドネシアでの生産受託を推進する。
16年3月期の連結業績は、売上高350億円(5.1%増)、営業利益15億2000万円(5.0%増)、経常利益16億5000万円(5.6%増)、当期利益8億7000万円(2.1%増)を見込む。デング熱の発生や為替レートなどの不確定要素は多いが、2期連続の増収増益を目指す。
週刊流通ジャーナル2015年6月15日号より