
日本緑茶センター(北島大太朗社長)は国内マーケットがシュリンクする中、少子高齢化、女性の社会進出、健康ニーズの高まりなどに対応し、ハーブをはじめ主力商品を新しい視点で提案していくと同時に、新しい素材を製品化する。海外事業ではアジア圏で茶園を開発し、雇用と同時に日本および進出国の健康に寄与するビジネスモデルを確立する。3年をめどに、ミャンマーでの事業が具体化する見通しだ。また昨年11月に就任した北島社長は体質転換を目指し、社内で異なる部署が課題を指摘し合い、改善につなげる仕組みを取り入れた。
主力商品を新たな視点で提案
北島社長は精力的に海外の茶産地を訪問している。「国内の大手メーカーが世界各地で大型の茶園を開発し、中にはそのまま海外に輸出している。そのようななか、当社が手がけるのはお茶の飲用習慣がある東南アジアになる。そこで、ミャンマーに着目した。最初は、それほど大規模のものをやろうとは思っていない。すでに茶葉の分析を終え、非常に安全なものであることを確認している。あと、土壌分析の必要がある。製法の問題があるが、土地が肥沃で、お茶は割と濃い味に仕上がる」(北島社長)
共同で茶園開発を行うパートナーをみつけ、派遣する人材の選定に入っているという。ミャンマーには、「ラペソー」として茶葉を食べる習慣がある。茶葉を茹でて搾り、半年ほど経って発酵させたものに、塩、ピーナツオイルなどで揉んで味付けしたものが「ラペソー」になる。
現地では、これを干しエビやナッツ類などと和えて食べる。そのまま、お茶請けやビールなどのつまみにもなる。日本では急須で淹れて飲用し、残りは廃棄するが本来、お茶の栄養分は茶葉にある。ミャンマーで農園を開発して、食品衛生の問題をクリアして日本にラペソーを輸出すると同時に、現地で抹茶を普及することを視野に入れている。
「現地でお茶づくり、ラペソーの衛生管理まで入り込んで技術提供し、雇用を創出したうえで、生産したものを買い取る。これだけで十分かもしれないが、最近、抹茶が世界を席巻している。日本式の碾茶(てんちゃ)をきちんと点てているものは少なく、現地で抹茶を手軽に手に入れられるような市場を形成していこうと考えている。ただ技術開発・提供して雇用を生み、日本に運んで日本人が健康になるだけでなく、ミャンマーの人も健康になって欲しい。3年ほどで、形が出来てくるだろう」(北島社長)
海外事業は各国の文化や状況に合わせ、フレキシブルに対応していく。一方、日本市場はシュリンクしている中、多様化・多角化が進行していることを指摘している。
「お茶の業界でも乱戦状態で、垣根がなくなりつつある。様々な業種業態の企業が新規参入してきており、多角化している。例えば、雑貨で有名な企業がお茶を手がけ、ブランドを活用しながら、参入している状態だ。そういう中で私たちは、1人のユーザーに多く使ってもらえるものや年代ごとの悩みに役立てるようなものを考えていかねばならない。主力商品であるハーブ、お茶を通して、女性の社会進出、少子化・高齢化の問題に対応していきたいと考えている」(同)
働く女性の心の健康をケアするうえで、薬品に頼らないことを促し、さまざまなハーブティーを提案していく。例えば妊産婦向けに、ノンカフェインの飲み物を商品化している。ハーブティーはすべてノンカフェインだが、ラズベリーは母乳の出を良くする、タンポポの根は身体のむくみを取るなど、ハーブごとに特徴があり、ハーブ+ノンカフェイン飲料によって、女性の社会進出、少子化の問題をサポートしていく考えだ。
週刊流通ジャーナル2015年6月15日号より抜粋