
ダイエー(近澤靖英社長)は20日、東京都北区の赤羽店をリニューアルし、都心立地の食に特化した新業態、フードスタイルストアの1号店としてオープンした。昨年11月のいちかわコルトンプラザ店で即食を強化した店づくりに取り組んだが今回、調理、外食を切り口に売場を再編した。さらに、植物由来の商品を集積したショップや新タイプのカフェを導入し、健康、環境、コミュニティ、情報の機能を付加している。近澤社長は「フードスタイルは30代、40代の新しい客層を取り込むことをねらいとしている」という。

業態の名称はイオンフードスタイルストア(ロゴで表記)だが、オープンから45年の歴史があることからダイエーの屋号も掲げている。店舗年齢の高い京阪神でも、同様の措置をとる見通しだ。これから首都圏と京阪神という2エリアと食品に特化し、グループ内の業態再編でフードスタイルストアと都市型SMに集約する。「早急に、首都圏、京阪神でイオンフードスタイルストアの認知度を高め、新店で出店できるようにしたい」(近澤社長)。
実験店のいちかわコルトンプラザ店、赤羽店、上期に予定している三宮店のほか、2店を業態転換し、今年度はフードスタイルストア5店体制となる。
赤羽店は3フロア2274坪で、1階が生鮮・惣菜、2階がダイニング&キッチン、HBC、菓子、酒、ボタニカルショップ(植物由来商品、健康訴求商品)、複合カフェ、3階が衣料品、住関連、書籍・歯科医などのテナントで構成される。実質的に1~2階がフードスタイルストアとなる。「これから、食関連のテナントや外食などを導入し、3フロアすべてをフードスタイルストアにしたい。また5層、6層の店舗があり、いろんな形態が出てくる」(近澤社長)
商圏特性を配慮し菓子、リカーを2階に
店づくりの考え方について、伊藤秀樹執行役員業態開発部長は次のように語っている。
「いちかわコルトンプラザ店は1フロア2000坪で、(食事の)つくらない化、食べて帰る化の視点で売場づくりに取り組んだが、今回、料理したい、食べに行きたいという切り口に変えた。1階は入口付近にデリカのほか、ベーカリー、ドーナツ、ポップコーン、カフェの中食を集積し、初めて売場の中にイートインコーナーを設けた。次いで青果、精肉、鮮魚で素材を充実させ、料理したいというニーズに応える。
2階はカフェ型イベントスペースを導入(イオンファンタジーが運営)し、料理、美容・健康など、大人から子供まで楽しめるイベントを開催し、30代、40代の若い世代を誘導する。これにボタニカルショップ、ジュースバーが連動する。売場面積の問題もあったが、商圏内で増加している30代、40代の親子の来店を想定し、菓子、リカーを2階にもってきた」
イオンファンタジーが運営するカフェ型イベントスペースは「cafe moricha(カフェもりっちゃ)の名称で、親子の来店に対応しカフェと室内遊具を配置した。

ボタニカルショップは、いちかわコルトンプラザ店でトライアルしたもので、食物由来の食品・化粧品などを集約し、ココナッツオイルなど健康オイルをコーナー化した。一角のジュースバーでは果実100%のフレッシュジュース、流行のスムージー、オーガニックコーヒーのほか、アサイー、チアシードなど注目のスーパーフードを素材とした500円台のものも提供している。

店舗導入部のデリカはアイランドでワインデリ、フレッシュサラダ、弁当、和洋中のバイキングコーナー「D’sセレクション」を展開している。ワインデリはピザ、グリルのホットメニューのほか、ミートサラダ、シーフードサラダ、トルティーヤなどを1カ所にまとめた。フレッシュサラダは即食のくくりで、サンドイッチ、パスタも一体化した。弁当は生鮮のこだわりの食材を商品化している。オリジナルのさつま姫牛を使用したすき焼き2段重(本体1371円)、あぶり焼き重(880円)、牛めし牛(680円)など、デパ地下をベンチマークしたものを開発している。また水産の素材を使用し、銀だら西京焼弁当、うなぎ姿寿司、うなまぶしめしなども商品化した。これらは生鮮のバイヤーが開発している。
「バイヤーは、生鮮素材から米の質まで吟味している。一般的にはベンダーが持ち寄ったものをコーディネートしているが、ダイエーのバイヤーは生産から販売までを一貫して管理、コントロールできる」(近澤社長)
壁面は和惣菜、おにぎり、丼、鉄板焼、焼鳥の流れで、これに個食鍋やフライパン調理の半加工品を連動させた。焼鳥はベーコンとパプリカチーズ巻き、チキンと野菜のバーベキュー、プチトマトのチキン巻きなど、新しい洋風メニューを取り入れた。
デリカゾーンの一角に、前述のイートイン併設のファストフードコーナーを配置した。既存店の改装で導入したドーナツ、カフェに加え、新たにピザ、フレンチトースト、ポップコーンを提供している。

日刊流通ジャーナル2015年6月24日号より抜粋