
サッポロドラッグストアー(富山浩樹社長)は、ヘルス&ビューティを核とする小商圏対応型Drug.Sの標準フォーマットを確立し、道内でのシェアを高めるため多店化を加速する。5月14日の定時株主総会とその後の取締役会では、富山睦浩前社長(68)が代表取締役会長に、富山浩樹前常務(38)が代表取締役社長にそれぞれ昇格した。本紙はこのほど、就任早々の富山新社長に就任に際しての抱負や今後の経営方針についてインタビューした。
380坪型標準フォーマットで道内シェア高める
——社長就任に際して、前社長から何か特別な引き継ぎなどはあったのですか。
富山社長 私自身この何年間も経営に携わってきたことで特別なものはなかった。会長本人も、引き続き代表権を持つため、社長を引き継いだという気はあまりないのではないか(笑い)。今後の役割分担としては、外向けの仕事は引き続き会長にお願いし、株主総会の議長など社内業務全般は私が主体で進めることとしている。
前期16店、今期も15店新設
——ここ数年、出店のスピードが上がっていますね。何故この時期に積極出店を推進されるのですか。
富山社長 前々期は12店を新設し、前期はリロケート2店を含めて16店を新設した。今期も15店を計画している。他社に比べればどうということはないが、当社にとってはかなり急速な出店ペースだ。前社長時代は、地区ごとに多様なフォーマットで出店する手法だった。だが店数が100店を超えてくると、この手法ではもはや通用しない。全社レベルで収益を上げ、多店化するためには、標準フォーマットを確立する必要があった。
このため5年ほど前から、多店化するための仕組みづくりに取り組み、標準とすべきフォーマットの確立をめざした。このためしばらくは出店数も抑制した。
私自身がプロジェクトリーダーとなり、いまの当社の実力で、適正な規模、適正な品揃えとは何かを追求した。その結果、2年前から売場面積380坪型、そのコンパクト版の300坪型の2種類の標準フォーマットを確立した。なおこのほか、SMとのNSCでは食品を除いたフォーマットでも出店している。
標準フォーマットの基本コンセプト
——標準フォーマットの基本的なコンセプトとはどのようなものですか。
富山社長 社内的には「ゼネラルフォーマット」と呼称しているが、「ヘルス&ビューティを核とした生活便利店」という位置付けである。小商圏でも収益を安定的に確保するためには、ヘルスケア、ビューティケアはもちろん、フード、ホームケアの品揃えも強化しなければならない。とくにホームケアは、品揃えで特徴を出すためには、取引先を継続的に開拓し続けることが重要だ。
主力となる380坪型は現在20店を超えた。品揃えやオペレーションで課題はまだまだあるが、ハード面を先ずきっちり標準化して、ソフト面はそれをベースとして随時修正を加えていく考え方だ。既存店についても、品揃えを標準フォーマットに近づける改装を、小規模なものも含めて前期で24店実施した。今期も同程度の改装を計画している。
——年間2桁の出店ペースは当面維持されるのですか。
富山社長 基本的には2桁出店を継続させたいが、経営数値とのバランスに配慮しながら今後の出店ペースを決める。前期は、建築費や電気料金の高騰などによるコスト上昇が収益を圧迫し減益を余儀なくされた。今後は、こうしたコスト上昇要因も吸収して、安定した収益を確保できる体制を構築していく。
日刊ドラッグストア2015年6月23日号より抜粋