大木(松井秀夫会長兼社長)は今期より、10年、20年先の成長軌道を確保する狙いで、「構造改革中期3ヵ年計画」をスタートした。その一環で今年6月に若手を抜擢した人事異動をおこない、10月1日には持ち株会社体制へ移行する。商品政策ではOTC薬効の表記の見直しを働きかけるほか、各カテゴリーのメーカーと組み、特徴のある専売品やPBの開発を強化する。さらに個人店を含む調剤薬局の物販参入も支援し、ヘルスケア領域のチャネルと商品を全方位で取り込んでいく。
10月に移行する持ち株会社の名称は、「大木ヘルスケアホールディングス」と命名した。「日本再興戦略会議は、健康寿命の延伸とセルフメディケーション推進を中心に産業の育成を目指している。この政策課題と呼吸を合わせ、次世代の流通業を創造する当社の志を、持ち株会社の名前に表した」(松井会長)という。
展示会で薬局向けシステム提案
6月11日、都内ホテルで取引先会を催した。集まった約300人の取引先に松井秀夫会長は、3月期業績と中期計画の骨子を発表し、取引先の一層の協力をお願いしている。
「厳しい決算の実態をご理解頂くと同時に、当社と取引先がさらに成長するために、双方の協業の必要性を訴えた。今後は『MD商品』すなわち、特徴のある専売品とPBの開発を強化する。早期にMD商品の売上比率を20%に引き上げ、互いの利益を創出したい」(松井会長)という。
ここ数年の同社は、注力カテゴリーを事業部化し、商品の開発、販売、物流まで一気通貫の体制を整えてきた。今後の健康食品事業は拡大が期待される機能性表示食品を、C&V事業はアンチエイジング商品等を、快適生活用品事業は高齢者の機能改善商品等を、さらにコンタクトケア事業部は補聴器や使い捨てレンズを、それぞれ強化する。
さらに個人の薬局薬店を支援するID事業部はこのほど、調剤薬局の支援を目的とした部門を新設し、OTCを含む物販販売のニーズに対応する。
「調剤薬局が販売するOTCは全売上の5%に満たない。薬局従事者はレジが打てず、何をいくらで売れば良いかも判らないのが実態だ。現在は調剤薬局向けに、受発注から精算までを簡便におこなえるシステムを開発中で、7月15-16日の秋冬展示商談会に合わせてお披露目する」(同)という。なおID事業部の取引口座はこの3年間で倍増の5000件となったが、今後3年間は調剤薬局を取り込みながら、トータル1万件の口座開設を目標としている。
日刊ドラッグストア2015年6月19日号より抜粋