
カスミ(藤田元宏社長)は12日、千葉県船橋市にフードスクエア咲が丘店を開設した。売場面積410坪のピロティタイプで、フードスクエアでは最小クラスとなった。今後も新規エリアに出店する際、小型でもフードスクエアを選択して競争力を高める方針だ。咲が丘店では最終コーナーを精肉と惣菜のコンセで固め、直営とは異なるMDで品揃えの幅を広げた。藤田社長は、「直営では難しい品揃えでも、商圏には必要なものがある。そういったものはコンセで補完する」という。

410坪の売場で直営・コンセの一体感を高める
同店は、新京成線・二和向台駅から徒歩5分の生活道路沿いに位置する。同じ道沿い200mの距離にマルエツがある。店舗後背には住宅街が広がり、駅利用客などの生活動線でシェア獲得を目指す。建物はピロティタイプで、1階に55台の駐車スペースを確保した。2階が410坪の売場となっている。コンパクトな施設面積で運営するため、バックヤード比率は22%ほどに抑えた。
「当店に限らず、バックヤード比率は継続的に下げている。厨房設備は毎年見直しており、機能を下げずにコンパクト化する方法を追求している。インストアの魅力はアウトパックには変えられないので、アウトを増やそうという意図ではない」(藤田社長)
新規エリアに進出する際は、競争力を発揮するためフードスクエア業態で出店することが基本になっている。都市部へ出店するため、最近では売場面積がよりコンパクトになる傾向がある。
藤田社長は、「新規エリアの場合、300坪台でもフードスクエアで出店するだろう。売場の大きさでフォーマットを選択することはない。競合もあるなか、品揃えを充実させて存在感を出そうと思えば、どうしてもフードスクエアになる。咲が丘店はコンセも含めて1万SKUを少し超える。商圏内では最も多いと思うが、これで受け入れられるかどうかはやってみないと分からない。そこはオープン後、修正していく」という。

惣菜・精肉 コンセでMD補完
第1主通路から第2主通路にかけ、直営の生鮮3部門を配置する。限られた売場の中で青果は密度感のある陳列を工夫し、鮮魚は壁面のオープンキッチンと主通路のマグロや貝コーナーで賑わい感を出す。直営の精肉はベーシックな品揃えをしっかり揃え、最終コーナーのコンセ「肉処えんや」による専門的なMDへと続いていく。
えんやは、精肉の対面コーナーをはじめ、ナスの肉詰めやオクラの肉巻き、エノキ巻きなどの半調理品、揚げ物・煮豚などの惣菜まで品揃えする。
「センターから供給する当社の精肉では、とてもコンセのようなMDはできない。1日に数十万パックという量を効率よく製造するため、商品化は効率とのセットで決めなければならない。自社で無理なことは、コンセで補う。最終コーナーの展開は、自社のMDではなかなかやり切れない。やれる力を持つところに入ってもらう」(同社長)
咲が丘店では、えんやとオリジンで最終コーナーを構成する。オリジンは壁面の量り売り惣菜のほか、おにぎりや弁当をカスミの惣菜部門と同じ平台で展開する。売場の制約のなか、直営とコンセの一体感は従来のフードスクエアより進んでいる。
「周辺のMDをみて、特徴を出すにはコンセと直営による最終コーナーの充実が必ず必要と考えた。ここをフルラインでやるために、狭い売場だが優先的にスペースを割いた」(同)
同店の初年度年商は14億9000万円を予定する。直営の取扱アイテム数は9452SKUで、コンセを含めると前述のように1万強となる。

日刊流通ジャーナル2015年6月30日号より