
整骨院をチェーン展開するワイズケア(山根幸男社長)は現在、ドラッグストア店内への併設出店を促進している。今年は整骨院にあわせ、より小さい面積で開設できる鍼灸院の併設を提案している。最近の鍼灸院は治療のほか、美容関連のメニューが増えており、美と健康領域の顧客を対象とするドラッグストアとの相性も高まっている。
ドラッグストアに鍼灸院の併設を提案
ワイズケアは、直営とFCをあわせ直近で30店の整骨院と鍼灸院を運営している。ここ数年は単独路面店のほか、フィットネスクラブや各種小売施設との共同出店をすすめてきた。昨年からドラッグストア内への出店を本格化し、すでにサッポロドラッグストアーに5店、シメノ薬局に2店を開設した。今月は九州地区や中京地区のドラッグストアにも併設し、直近1年間で2ケタ出店のペースである。近く関東地盤の大手チェーンとも連携する予定だ。
同社は当初、患者数が(鍼灸院より)多い整骨院の併設を提案してきた。すでに併設した整骨院について山根社長は、「単独路面店の『入りにくい』というイメージを払しょくし、潜在的な患者を掘り起こすことができた。健康産業としてのシナジーから、当社とドラッグストアの双方に創客効果もみられる」という。

女性専用の鍼灸院も形にする
今後はこの整骨院とあわせ、鍼灸院の併設も提案し、立地や店舗面積、顧客のニーズにあわせた柔軟な出店をおこなっていく。整骨院が約15坪の面積を必要とするのに対し、鍼灸院は約5坪(届出面積最低3坪)で出店できる。また整骨院は保険制度が適用されるが、鍼灸院は自由診療が基本で、中長期的に制度変更等の影響を受けないという利点もある。
整骨が日本独自の施術であるのに対し、鍼灸は東洋医学として国際的な知名度がある。効用は肩こり、腰痛、自律神経失調症、不眠症、変頭痛、婦人疾患、喘息、アトピーなど幅広く、ドラッグストアが扱う漢方薬との親和性も高い。さらに最近は、「美容鍼」という言葉が広まり、美容関連の施術が人気だ。シミ、しわ、たるみ、むくみなどの女性の悩みに対応したメニューも増加傾向にある。
「美を求めて訪れるドラッグストアの女性客に、ダイエットや小顔などの美容鍼のメニューは間違いなく受ける。整骨と異なり短時間で効果を実感でき、リピート率の向上と固定客化が見込める」(山根社長)という。
同社は昨年6月にサッポロドラッグストアー内に整骨院と鍼灸院の複合店を出した後、今年4月と5月にはフィットネスクラブ内に相次ぎ鍼灸院を開設した。前者は美容メニューが受けており、後者は運動後のリラックスメニューが好評だという。
「サッポロドラッグストアーの店は、当社スタッフが売場の商品を勉強し推奨に努めている。今後は施術に売場の商品を取り入れることも検討する。また近い将来、女性施術者による女性専門の鍼灸院も形にしたい」(山根社長)という。
日刊ドラッグストア2015年7月2日号より抜粋