
伊藤忠食品(星秀一社長)は地域産品の開拓によって、売場の活性化を提案している。SMをはじめ多くのチェーンがNB商品に加え、素材や製法にこだわりをもった地域産品を求めているという背景がある。昨年4月に「地域産品プロジェクト」を立ち上げ、本格的な商品の開拓をスタート、ロゴ・名称の商標も登録した。「北陸新幹線」「北海道新幹線」「富士山」「神戸」など企画ごとにエリアを区分し、社内商談会を開催する。得意先に対しては、さまざまな企画を通して、ギフト・定番商品として提案を行っている。
15年度の組織変更で、商品統括部にMD推進課・地域産品プロジェクトチームを設立した。専任の部署によって地域産品を開拓し、全国の営業本部に紹介し、全国の優れた商品を育成していく。MD推進課の西村欣也課長は「安全・安心で美味しい日本各地の地域産品を全国の食卓へというコンセプトを掲げて活動を進めている。得意先からは、まだ全国に流通していない、ご当地商品として評価していただいている」という。
各自治体や地銀と連携することで、地域のメーカーの紹介を受け、MD推進課のスタッフが現地に赴いて、事前商談を行う。
「表示・品質などの問題はないか、当社の得意先、チャネル別に合わせた見方で、提案できる商材であるかを審査しながら、商品を選定し、おおよそ30社に収める。さらに地域産品プロジェクトとして、企画ごとに4社をISCベストセレクションとして認定し、販促冊子を作成している」(西村課長)
売場の楽しさの演出でも不可欠
東京本社で開催する社内商談会で、営業担当者に行うアンケートが認定基準となる。「おいしい」「すぐ取引したい」の2つの設問の、それぞれ上位2アイテムが選ばれる。社内商談会には昨年1年で441社・3864SKUが出品している。約3000SKUが採用され、新たに41社の口座が開設された。消費者視点からも、今後ますます、こだわりの地域産品のニーズが高まるのではないかと考えている。
「いまSMの生鮮売場で積極的に産地表示が行われている。これに連動して、地域ならではの調味料を食卓に届けることを売場で表現していくことが大切だと思う。地方に旅行した時、ホテル、旅館で出される料理は、地元メーカーの調味料で味付けされる。地域産品には、日常の食卓の中でも、そうしたものが味わえる環境が必要だ。売場の楽しさということを考えても、地域産品は魅力がある。
さらに2020年の東京オリンピックは、大きなインバウンド市場となる。海外から多くの人が訪れるので、首都圏が広告塔となるチャンスだ。全国の産品を揃え、各地に行ってみたいという気をそそらせるような見せ方についても考えていきたい」(同)
日刊流通ジャーナル2015年7月14日号より抜粋