
全国農業協同組合連合会(JA全農、成清一臣理事長)は、国産農畜産物の消費を拡大することで活力ある産地づくりに取り組んでいる。生活リテール部は、国産農畜産物使用と国内製造をコンセプトとする「全農ブランド商品」の開発・育成を進めている。14年度末までに163アイテムを開発し、カット野菜や、凍菜、加工米飯などが好調に推移している。「アイテム数は揃ってきたので、これからはリニューアルを中心にコア商材の育成と新たな価値提案にシフトする」(田中孝樹商品開発課長)としている。

生活リテール部は、店舗(Aコープ)事業のほか、共同購入、食材宅配、ネット通販等の無店舗供給、商品開発を担う。直近の動向で、店舗事業はSMと農産物直売所を一体化した新タイプの「JAファーマーズ」のフォーマット確立を進めている。14年10月に大阪府和泉市、今年6月に群馬県北群馬郡に出店した。売場面積500坪以上(SM400坪、直売所100坪)を想定しており、国産農畜産物の販売強化モデルと位置づける。直売所は地域の農協と連携して生産者を組織化し、幅広い品揃えを安定調達できる仕組みづくりに取り組んでいる。
商品開発はこれまで、PB「エーコープマーク品」を中心としてきた。14年度の売上高は230億円(卸ベース)だった。181アイテムで、店舗と無店舗で仕様が異なるため、SKUはさらに拡大する。
生活リテール部として国産農畜産物のいっそうの消費拡大を目指すうえで13年10月、「全農ブランド商品」を立ち上げた。店舗やネット通販などのチャネルを強化するとともに、商品を通じて生活者にさらに近づくことをねらった。国産農畜産物使用と国内製造をコンセプトとし、レギュラータイプとプレミアムの2ラインを展開する。カット野菜や野菜キット、チルド惣菜、加工肉、冷凍食品、乾めん、餅、パック米飯、清酒など計65アイテムでスタートした。14年度末で163アイテムとなり、売上高は12億円だった。
「生活リテール部として、PBを開発しており、価値を高めてコンシューマー商品に領域を拡大する感覚でスタートした。店舗などからの要望を受けて開発することが多いPBに対し、コンシューマー商品はSM・GMS、コンビニエンスストア、宅配などチャネル別に対応した開発が難しかった。単品では訴求力が弱いので、早急に面で展開できる品目数を目指し、1年半で163アイテムを開発した。
各カテゴリーともアイテム数が揃い、面展開できるようになってきたので、今後はリニューアルを中心にチャネル別の対応をより明確に打ち出した開発にシフトする」(田中課長)
JA全農グループの店舗、共同購入などのほか、生協やSM・GMSを中心に採用が進んでいる。カテゴリー別ではカット野菜や野菜キット、凍菜、加工米飯(パック米飯やレトルトのおかゆ、餅など)が好調という。「農協からイメージされる野菜や米の関連商品の動きがよい。品質に見合った商品なら価格は少し高くてもいいという消費が広がっており、全農ブランドは国産原料にこだわっているので、ワンランクアップ商品の位置づけで展開されるケースが多い。導入店では概ね堅調で、特に首都圏は回転率も高水準で推移している」(同課長)
日刊流通ジャーナル2015年7月14日号より抜粋