
ユニー(佐古則男社長)は3日、13年8月から建て替えのため休業していたピアゴイセザキ店(横浜市中区)を再オープンした。初めて食品を2フロアに分けるスタイルを採用し、1階に惣菜・洋日配・酒類などの即食関連、2階に生鮮3部門と和日配・グローサリーを展開する。3階には衣料・住関連を集約した。中華街に近く、10人に1人が外国籍という商圏特性に合わせ、生鮮各部門で中華をはじめとするアジアン料理用の素材を拡充している。

同店は、ユニーの前身のひとつ「ほていや」が1969年にオープンし、13年8月まで44年間にわたって営業した。ほていやは、1968年に子会社化した松喜屋から同店を継承しており、建物の建築は1957年まで遡る。ユニーの中では最も古い商業施設のひとつで、数年前から進めてきた既存店の耐震化の一環として建て替えた。
売場面積は3フロア合計937坪で、2層の食品フロアは旧店に比べ1.3倍に拡張した。1階に即食系を集約し、ショートタイムショッピングの利便性を高める。2階に生鮮・和日配などの素材関連を展開する。集中レジは1階だけに配置した。
商圏は1㎞内の2万3000世帯・6万人と設定する。単身世帯の比率が県の平均より13P以上高く、5割近くを占める。所得の幅も広いため、上質品から下限商品まで、各カテゴリーで価格帯の幅を広めに設定している。少人数世帯に対応した品揃えと同時に、住民の10人に1人が外国籍という特性を考慮し、生鮮の各部門で中華などの商材を強化している。
青果では「アジアンベジタブル」コーナーとして珍しい野菜を集め、「トムヤム野菜セット」(本体価格698円)などを商品化している。果物のプロモーションコーナーでは、マンゴー、パパイヤなど日本でもポピュラーな果実と一緒に、ヤングココナッツを大量陳列で訴求していた。鮮魚では姿揚げ用途の丸魚を展開し、精肉では鶏のモミジ(爪先)の冷凍品を扱う。

建て替えを機に強化したカテゴリーは、鮮魚部門、洋日配、ワインを中心とした酒類などである。ワインは若年層の取り込みを意識し、デイリーワインから2000円台を超える高価格帯までバラエティを広げた。スパークリングタイプに加え、デイリーワインやサングリアをクールゾーンで展開する。関連商品としてナチュラルチーズをワインと隣接させてコーナー化した。
鮮魚部門は、魚惣菜をコーナー化する。オープン日は店内加工のウナギのかば焼きを中心に、塩銀鮭の塩焼きや、マグロのかま照り焼き、サバ塩焼きなどを展開した。生鮮部門による惣菜商品の拡充は、同店に限らず全社的なテーマとなっている。新店や改装店の場合、鮮魚部門ではスチームコンベクションを導入するケースが増えている。精肉は今後、フライヤーなどを使って惣菜の商品化を計画している。青果は、カットフルーツなどの充実を図る。
佐古社長は、「生鮮素材の惣菜化は必ず進めなければいけない課題だ。家庭での『つくらない化』が顕著になるなか、生鮮部門でも即食性の高い商品は必須となっている。精肉のPCを使って焼鳥を供給しているものの、それではまだ不十分だ。インストアでの商品化に取り組んでいく。家庭の『つくらない化』は、売場のつくりも変えている。生鮮・惣菜を展開する外側が拡大し、グローサリーなどを展開する内側は縮小する傾向が続くだろう」という。

日刊流通ジャーナル2015年7月17日号より抜粋