ファンケル(宮島和美社長)は、今期から3年間の広告宣伝費を増強して旗艦商品の育成に努める。健康食品は機能性表示食品を次世代の収益の柱に位置付け、新商品・既存品とも新制度に対応する。消費者庁に届け出た商品はすでに3品が受理され6月に販売を開始した。大手コンビニ4社が採用したほか、ドラッグストアへの導入もすすんでいる。7月には化粧品子会社と健康食品子会社に分かれていた営業機能を一本化し、流通向け施策のスピードアップと効果の最大化に取り組んでいる。
健康食品市場のシェア率高める
ファンケルは今期から3ヵ年の中期計画を推進している。その推進力として、例年は売上比率10%が目安の広告宣伝費に、3年間で200億円を追加投資して旗艦商品を育てる。200億円の内訳は化粧品事業が50億円、健康食品事業が150億円で、特に先頃始まった機能性表示食品制度を追い風に、健康商品事業を伸ばし市場シェア率を高める。
4月に始まった新制度のもと、同社も消費者庁に複数の商品を届け出た。まず4月18日に「えんきん」と「健脂サポート」の受理が公表され、その後「計圧サポート」を加えた計3品が受理されている。
「えんきん」は、目のサプリメントとして日本初の機能性表示食品。実際の製品で臨床検査をおこない、手元のピント調整力の改善が認められている。パッケージには「臨床試験済み」の文字を大きく配し、明確な機能性を切り口に他の商品と差別化を図っている。
また「健脂サポート」は中性脂肪が高めの人に向けたサプリメント、「計圧サポート」は血圧が高めの人に向けたサプリメントで、いずれも機能性を臨床研究論文で検証するシステマティックレビューを実施した。パッケージには「機能成分のデータあり」の文字を配し、効果を感じやすい表現も明記した。

キャンペーン広告に応募殺到
「えんきん」と「健脂サポート」の発売日の6月19日には、一般紙に全面広告を掲載した。告知内容は「えんきん」の1万人モニターキャンペーンで、当日は電話窓口がパンク寸前になるほどの反響があった。
執行役員流通営業本部長の稲葉豊和氏は、「電話口の生活者の声から、(えんきんの)臨床試験済みの表示への期待の高さがうかがえた。安心・安全と体内効率にこだわる当社の事業姿勢が、同制度を通じアピールできることにも確信が持てた」という。
流通向けの営業も良好な結果が出ている。7月10日に放映したTVCMの前週から、大手コンビニ4社が一斉に採用した。コンビニ各社は高齢者向け商材としての機能性表示食品に期待しており、「ターゲット層に近いオーナーの理解がすすめば、導入率が一気に上がる可能性もある」(稲葉本部長)という。
ドラッグストアは、企業間で温度差があるものの概ね堅調な導入を見せている。ただ、「現状受理された商品は約50品で、機能性表示食品のみで売場を確立するにはやや時間がかかる。春秋の棚替え時以外の作業は多大な労力が伴うのも事実だ。今後は小売業と卸売業との連携を一層密にして、タイミングを逃さず売場を提案したい」(同)としている。
大手GMSからは、PB・SBとして機能性表示食品のシリーズ化を望む声が高まっている。シリーズ化には多様なラインアップが必要だが、サプリメントの総合メーカー、かつ高水準の研究・生産施設を持つ強みを生かし、小売業のニーズに幅広く、フレキシブルに応えていく方針である。
日刊ドラッグストア2015年7月16日号より抜粋