
アクシアル リテイリング(原和彦社長)はグループでロジスティクス、情報システムなど基幹機能を共有しながら、MD、PB開発などは独自性を打ち出す分野としてSM各社に委ねる。新潟県を拠点とする原信とナルス(旧原信ナルス)は独自のPBを開発すると同時に、5年ほど前からニューコンセプトPARTⅡと称する提案型の店づくりに取り組んでいる。導入部でのベーカリーとカフェ、デリカ、青果の一体化、名物商品の売り込みなどがポイントとなる。原信の約3割の店舗にイートインコーナーを併設している。

原社長は原信、ナルス、フレッセイのSM3社のスケールメリットおよび独自性の追求について、「スマートフォンに例えるなら、MDやPB開発はアプリケーションで各社が独自に強みを発揮していくが、軸となるITやロジスティクスはOSとして共有していく」と語っている。PBは旧原信ナルスが地域商品を中心に開発し現在、アクシアルaのブランドで約300品目をラインアップし、一部をフレッセイでも取り扱っている。
「提案型の店づくりは新MDによって食生活を豊かにするもので、普段使いの商品、提案型商品に加え、独自の名物商品によって、よりおいしいものを提供する。名物商品としてスタミナ焼き餃子、五目春巻、手造りおはぎなどを開発しているが、これらを地元のテレビ局のCMで放映することで、大幅に売上が伸びている」(原社長)
スタミナ餃子は皮で、ほど良い食感を出すと同時に、国産の豚肉とニンニクを使用し、ニンニクの味を抑えた。餃子は従来、夕食メニューとして午後の売り込みを中心としていたが、臭いを気にしないで食べられることを訴求し、午前の品揃えを充実させた。ピークの夕刻のボリュームの売上が大きいことに変わりはないが、午前の売上の構成比が25%に達し、底上げが図られた。
手造りおはぎは、国産の素材を使用し、甘さ控えめで飽きのこない味に設計した。新潟の民放4局に、名物商品のCMを放映することで、餃子、おはぎは前年比70%以上で推移している。名物商品はほかの惣菜と同様、製造加工を担う子会社のローリーが半加工したものを店内で最終加工している。

地場商材の充実に加え、簡便ニーズに対応
2004年4月にオープンした紫竹山(しちくやま)店(新潟市中央区、749坪)はJR新潟駅から徒歩10分の距離にある。家電のコジマと商業集積を形成する。昨年3月、新タイプにリニューアルした。
新MDの店舗は導入部にベーカリーとイートイン併設のカフェコーナー、デリカを集積している。イートインスペース自体は2000年頃の新店から導入しているが、最近の店舗は40〜50席に広げている。カフェといっしょにベーカリー、惣菜、弁当などを手軽に食べられる。
導入部の正面に平台2台を配置し、旬の果物、野菜の2つの面をみせ、季節感をアピールする。これに、壁面の惣菜に連動する形で、焼鳥、天ぷら、揚げ物のおかず屋台、サラダステーションを展開する。壁面の惣菜は寿司、中華、焼鳥など、カテゴリーのくくりを明確にした。前述の餃子などの名物商品のほか、トンカツやカツ重など、支持の高いものがある。
鮮魚は丸魚の鮮度、品揃えの豊富さに加え、簡便型の新しい食を提案する。オープンケースで魚河岸通りと称して、地場の佐渡沖で獲れたうまづらはぎ、宗八かれい、新潟県産の甘鯛、かながしらなどを揃え、壁面で調理加工サービスを受け付ける。一方、生食のサーモンとシーフードサラダ、バジルオイル焼、フライパン調理の簡単クックをコーナー展開し、新しい食のニーズに対応する。さらに、かにみそ、あんきも酒蒸し、酒盗、帆立しぐれ、粒うになどをオードブルとして提案している。
精肉は越後牛、イベリコ豚をコーナー化し高質ニーズに応えるほか、内臓肉各種を豊富に揃え、焼肉商材コーナーとして展開している。また豚タン塩レモン、テリヤキチキン切り落とし、タン塩、ローストポーク、馬刺をオードブルとしてくくり、輸入品を含めた生ハムを連動させている。
酒類は地場の豊富な日本酒を充実させたほか、ワインも2000〜3000円台まで揃え、地場産や輸入品のPBも取り扱う。

日刊流通ジャーナル2015年7月27日号より抜粋